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なぜ今『世界基準の上司』を書いたのか? ~「世界基準の上司」を目指して(序章)~

なぜ今『世界基準の上司』を書いたのか?  ~「世界基準の上司」を目指して(序章)~

日本経済、日本社会への危機意識

円安や世界経済の発展等の理由により、自動車・重電・部品など一部の大企業は非常に業績がよい。ところが、世界の競合の時価総額はアップルの87兆円を筆頭に、グーグル、マイクロソフト、GE、フェースブック等、数十兆円に上り、日本の高業績企業との差は数倍~数十倍に広がった

製造を中心とする大企業の大半と中小企業は苦しい戦いを強いられており、時価総額的にはめぼしい企業が米国・欧州・アジアの世界的企業に全部買収されてもおかしくない状況にある。かつての名門企業NECも長らく時価総額1兆円を割っていたが、直近でやっと1兆円台に戻したところだ。

一部企業の高業績により2%以上の賃上げが実現したにもかかわらず、全体で見ると給与水準は下がっている。2014年の給与は前年比マイナスだ。その原因は、高業績企業が一部に片寄っていることに加え、正社員が減る一方だからだ。いったん正規雇用を外れると、戻ることは非常にむずかしい。条件はどんどん悪くなるし、その状態からのカムバックは不可能ではないが、尋常の努力ではできない。

女性の貧困層も増えている。3組に1組は離婚し、子どもがいると多くの場合、母親が引き取る。もしも子どもが病気がちだと、正社員を維持することはかなり大変だ。契約社員になり、短期契約になり、アルバイトになり、どんどん経済的に苦しくなる。もともと正社員でない母親も多い。過労などからその母親が体調を崩したら、その先どうなることか。

もちろん、年金制度はとっくに破綻しており、多くの人にとって生活の保証は全くない。今20~50代の人は、年金はおこづかい程度かそれ以下と思った方がいい。生活費の足しにはならない。しかも、人口は急激に減り、高齢化が加速している。介護や一部のサービス業以外、国内市場は縮小する一方だ。2020年東京オリンピックに向けた観光立国が進められておりそれなりの成果を上げつつあるが、その後の反動は相当覚悟しておく必要がある。

一人ひとりの危機対応力、問題把握・解決力をどう上げていくのか

こういった日本経済、日本社会への危機意識から、2000年以降、米国、特にシリコンバレーとの差が極端に大きいベンチャー分野での経営支援を始めた。その後、中堅・大企業の経営改革に個別に取り組み、幸いそれなりの手応えもあった。

ただ、もっと広範囲で多くの方々に自ら問題を直視し、新たな行動を起こしていただけたらと考え、2013年12月に『ゼロ秒思考』を上梓した。一人ひとりが思考停止になりがちで、危機であっても十分な対処ができていない、わかっているのに何もしない、という状況を何とかしたいと思ったからだ。

「A4用紙1ページに1分でメモを書く。毎日10ページ書く」という極めて簡単かつ時間もコストもかからない方法ながら、「頭がすっきりする。もやもやがなくなる。今何をすべきか見えてくる」ということで好評を得て、『ゼロ秒思考』は9万部を突破した。

しかし、残念ながら、それだけでは足りない。頭が整理されたとしても、まだまだ一人ひとりの仕事には大変無駄が多く、改善余地が莫大にあるからだ。そこで、今年1月には『速さは全てを解決する』を出した。この本では、新しい視点から考え、徹底した工夫を積み上げれば、あらゆる仕事や情報収集が何倍にも速くなることを示した。仕事の効率、スピード、情報収集等に関心の高い方が多かったためか、わずか3ヵ月で7万5000部を突破し、『ゼロ秒思考』を大きく上回るスピードで伸びている。

書類・資料作成も、メール対応も、膨大な会議時間も、情報収集も、見方とやり方を変えれば従来の何分の一かで実施することができる。日本企業の生産性の低さは長らく指摘されてきたが、これを一気に改善するための考え方と徹底した工夫を詰め込んだ。

上司と部下の深刻な問題

ところが、個人の頭が整理され、仕事の速さが何倍かに上がっても、日本企業、日本社会には深刻な課題、大きな改善余地がある。それが上司と部下の関係だ。大企業、中小企業、NPO、役所でもちょっとした小サークルでも大差はない。皆が誤解し、悪循環が続いているからだ。

上司はろくに部下に指示をせず、自分の意向も伝えず、質問もあまりうけつけず、勝手によい結果が出ることを期待している。

わざとむずかしい仕事を与え、自分でもできないようなものなのに、「お前にチャンスをやるよ」と言って突き放す。もちろん、できなかったら罵倒する。2時間くらい立たせて怒鳴りちらしたり、ねちねち言い続けることも決して希ではない。

部下がとうてい合意できない、無茶苦茶な目標を押しつけ、達成できなかったら毎日つるし上げる。自分は生き延びてきたので、部下も耐えることが当然とたかをくくっている。自分の同僚は皆脱落し、何人もがうつ病等で大変な思いをしていたとしても、負け犬だったからしょうがない、と切り捨てている。部下は会社が自分に与えてくれた貴重な人的資源であり、それを活かし育てて自部門の成果を最大化すべきなのに、そんなことはほとんど意識されていない。

上司とは、部長、課長のことだけではなく、部長の上の事業部長も、その上の事業本部長も、またその上の管掌役員も、常務・専務・副社長もすべてだ。その上に君臨する代表取締役社長が最大の鍵を握っており、最悪のガンである場合も多い。20~30代だった頃の高度成長期の気分を多かれ少なかれ引きずり、古い体質・風土のどこに問題があるのかを考えることはあまりない。

世界的企業でも、多かれ少なかれ粗暴な上司はいるし、組織的課題も大企業病もあるが、それでもおおむね優れた上司がそれなりに優れたマネジメントをしている。経営課題に対して大局的・中長期的に見て根本的に解決し、事業を成長させようという姿勢がある。取締役会もそれなりに機能している。それがトヨタ等例外的な企業を除く日本企業と、世界的企業の時価総額の決定的な差となって現れている。

高業績とか「昨年対比で素晴らしい伸び」とか言っている場合ではない。「昨年対比」にはまやかしが多い。もっと長い期間で見なければ、上がったり下がったり、また上がったりだからだ。右肩下がりでも、でこぼこがあれば、2年に一度は「昨年対比で素晴らしい伸び」と言える。

日本にも、もちろん優れた経営者はいる。ただ、そういった少数の優れた経営者が事業部長、部長、課長のマネジメントの実態を熟知し、現場でどういう仕事のさせ方をしているのかを見て、上司のあり方や組織風土まで踏み込んで改善しようとしているかというと、はなはだあやしい。

この「上司・部下問題」は、深刻ではあるものの、実はかなり広範囲な誤解と思い込みによって起きている。言いかえれば、いくつかのポイントを押さえれば比較的簡単かつ短時間にかなりの改善が見込まれる。

こういう問題意識から、「ゼロ秒思考」「速さは全てを解決する」に続く第3弾として、日本企業の「上司と部下の深刻な問題」に踏み込み、組織の制約の多い中で、「どうすれば上司が最大の成果を出し、かつ部下を最速で育てることができるのか」に焦点をあて、『世界基準の上司』として詳しく述べた。

「どうすれば、日本企業が時価総額も含めて世界的企業と戦えるようになるのか、競争力を取り戻すことができるのか」に関して、避けられない課題であり、極めて重要な出発点となると理解している。

今後、5回に渡ってご紹介したい。

第1回:「世界基準の上司」を目指して 部下と協力関係を築く
第2回:「世界基準の上司」を目指して 部下に具体的な指示を出す
第3回:「世界基準の上司」を目指して チームから最大の成果を引き出す
第4回:「世界基準の上司」を目指して 部下とのコミュニケーションをとる
第5回:「世界基準の上司」を目指して 部下をきめ細かく育成する

 
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