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ブレークスルーキャンプ—2011年、日本が大きく変わった

ブレークスルーキャンプ—2011年、日本が大きく変わった

ブレークスルーキャンプの成功

世界に向けたスマートフォン・ソーシャルメディアのアプリ開発を目指して、実装のできる学生エンジニアを中心とした23チーム、100名が、2011年7月中旬から9月中旬まで東京神田で2ヵ月間の合宿をした。

スローガン株式会社およびマイクロソフト他の協賛企業、および多くの学生・社会人スタッフの協力を得て、24時間使用可能な開発オフィス・ウィークリーマンションの無償提供に加え、食費補助、食品提供、地方からの一往復分の交通費提供、経験豊かなエンジニア・メンターがコーチングという、万全の環境を提供した。(Facebookページ)

高校生から大学院生まで、予想を大きく上回る49チーム160名が全国から応募し、実装経験に基づいて選抜された23チームが全力投球した。暑いさなか、ほとんど家にも帰らず、大きなもめ事もなく、2ヵ月間開発に専念した学生各チームの集中力は、本当に頭の下がる、素晴らしいものだった。

9月19日の決勝プレゼン大会では、「Facematch」チームが優勝、直後のジャパンナイト予選では、実績のある多数の社会人ベンチャーを物ともせず突破し、ついには、サンフランシスコでの決勝で英語でのプレゼン・デモを見事にこなして堂々優勝した。その後もMashup Awards7など多数受賞して、大きな話題となっている。

ブレークスルーキャンプ準優勝は、高校3年生2名からなるengraphチームで、Android携帯用の画期的な電話帳アプリを早々にリリースし、その後の各賞を総なめしている。中心の高橋俊成さんは、一人で企画・デザイン・開発をこなし、朝早くから遅くまで、ブレークスルーキャンプ参加者全員の中でも一番熱心に開発に取り組んでいた逸材だ。

ブレークスルーキャンプにおいては、毎週木曜日夜に週次全体ミーティングを実施し、著名な方々をお呼びして檄を飛ばしていただいた。MOVIDA Japan株式会社社長孫泰蔵さん、Facebook Japan Country Manager児玉太郎さん、App Bank代表村井智武さん、頓智ドット社長井口尊仁さん(当時)などがエキサイティングなスピーチをされ、毎週100数十名の参加メンバーに世界への夢と興奮を与えてくださった。

テレビ東京のワールドビジネスサテライトにも取り上げられ、ブログにも多数カバーされて、全国の学生のみならず、ベンチャー界での認知度は非常に高かった。

これを受け、今年2月より年4回、新進ベンチャー、起業準備中のチームに対し出資し、オフィスを無料で提供し、アプリ・インフラサポートデスクを提供し、きめ細かい企画支援、経営支援、資金調達支援により一緒に世界をねらうブレークスルーキャンプ by IMJが開始される。(プログラムへの参加、および協賛等ご関心をお持ちの新進ベンチャー、創業準備中のチーム、企業の方はこちらまでお願いします。(support-btcamp@imjp.co.jp)

日本の製造業の競争力低下

半世紀ほど前、日本からは、パナソニック、サンヨー、シャープ、キャノン、トヨタ、ホンダ等のベンチャーが続々と生まれ、すさまじい経営革新努力により、世界に誇るグローバル企業となった。ところが、規模の拡大とともに大企業病が蔓延し、意思決定が遅くなり硬直化した。

高度成長期以降、一流大卒の本来は優秀な人材が大量に大企業に就職し、減点主義のピラミッド組織を登る中でだんだんと凡庸な人になっていく時代が続いた。お御輿に乗った、事なかれ主義のサラリーマン社長が横並び経営に終始し、事業の選択と集中には長らく踏み切ることができなかった。限界まできて、ようやく改革に着手し始めた大企業も多いが、アプローチは生ぬるく、成果を挙げるにはほど遠い。

韓国・台湾・中国のメーカーは、日本の生産技術と日本から輸入した部品を利用して家電、PC、携帯電話、半導体、太陽電池、自動車等の分野で急成長し、円高もあって日本企業のシェアを急速に奪っていった。彼らはトップダウン経営で意思決定が早く、強烈なハングリー精神を持つ。

多数の留学生、留学帰りの優秀な人材を通じて日本よりはるかに強くシリコンバレーとつながっているため、日本企業に比べて数段グローバルな経営を実現している。英語力、英語でのコミュニケーション力(遠慮しないで発言する、相手に対してポジティブな言い方をしつつ、自分の意見をうまく通すなど)もはるかに高い。

もちろん、一部の日本企業は大変頑張っている。部品・素材レベルでは世界シェアが非常に高い企業が多いのは広く知られているが、いかんせん、付加価値の大きい部分は米国Appleや韓国サムスンなど、外国企業に持って行かれることが多く、残念な状況にある。

製造業から情報技術産業へ

さらに、過去10数年、情報技術社会、インターネット社会の進展とともに、製造業そのものの地位が急激に低下している。代わって急成長中の情報技術分野で、日本は決定的に遅れている。Netscape、Internet Explorer、Chrome、Firefox等のブラウザも、Yahoo、Google等の検索エンジンも、オラクル等のデータベースも、PCも携帯電話のコア技術も、ほとんど米国発で世界標準化され、巨大な事業を次々に生み出した。

Amazon、Facebook、Twitter等の成長も言うまでもない。

日本は理系を志望する学生数が減っている上、大学では即戦力養成を重視していないため、他国に比べてかなり不利な状況におかれている。情報技術に関しては、モバイルサービス等の一部を除き、世界競争力をが不足している。

ベンチャーの発展が社会を刺激する、日本を変える

こういった問題意識のもと、人材流動化と新陳代謝を促し、もう一度社会に活気を取り戻すべく、2000年以来、ベンチャー育成に取り組んできた。急成長ベンチャーが増えれば、硬直化した日本社会に大きな刺激を与える上、大企業指向の強かった優秀人材も、急成長・高収益ベンチャーにはそれほど抵抗なく就職してくれるだろうと考えたからだ。

いったんベンチャーに就職すれば、次は自分でやってみようと思い始める人が一気に増えてくる。少なくとも、大企業ほど社内政治に明け暮れることがなく、また責任権限も大きいので、数倍早く育つ。たくましくなる。自然と、世界に目を向ける。情報感度も高くなる。

「あいつができるなら自分も」というふうに、ムラ社会、付和雷同型の日本人の行動も、急激に変わってくる。こういう期待で取り組んできた。起業家精神、ハングリー精神の強い人材が増え、成果を出し、社会があるところから急激に変わっていくのでは、というねらいだった。

学生ビジネスプランコンテストを多数支援したが

そういった活動の一環として、ここ数年、多数の学生ビジネスプランコンテストに深く関わり、支援した。applim、OVALアントレプレナーシップ論講座、Trigger、KBC、KING等々だ。多くの場合、ねらいの整理、運営プロセス・イベント設計、審査基準作成等に関わり、コーチング、メンターへのコーチング、基調講演等も行った。

参加学生は毎回100~数百名いて皆熱心なものの、ビジネスプランコンテストである限り、結局は企画を考えるだけで、その後実践するチームは一握りだった。皆、実装のできるエンジニアが身の回りにいないと言う。実際に開発せずに企画をしても、極めて表面的に終わるし、ユーザーの反応を確認するすべがないので、学ぶことが少ない。

2ヵ月でアプリを開発・実装するブレークスルーキャンプ

これでは到底だめだという結論に達したのが、昨年4月中旬だった。スローガン株式会社の伊藤豊社長にすぐ相談し、マイクロソフトの石坂誠さん、砂金信一郎さんの励ましと協賛を得て、上記のブレークスルーキャンプの開催を決意した。運営事務局代表には、早々に早稲田大学3年の遠藤結万さん、副代表には慶応大学4年の小俣剛貴さんが就任し、総勢20名以上の学生スタッフを組織してくれた。技術面は以前から大変お世話になっているクーガーの石井敦社長が面倒を見てくれることになった。

参加メンバーの募集は、まず私のFacebook友達2000名、Twitterフォロワー4000名に向けて発信された。これを多くの友人が非公式リツイートで広めてくれたり、シェア・いいね!で広めてくれたりした。結果が予想を大きく上回る49チーム、160名の応募だ。募集状況、マッチングパーティー、キックオフ、週次の全体ミーティング、予選、決勝大会等、すべてTwitterでできる限り発信していった。これには、慶応義塾大学3年の柳川あかりさんが素晴らしい貢献をしてくださった。ブログにも多数取り上げられ、反響を呼んだ。

このように、ソーシャルメディアをフル活用し、学生エンジニアによる2ヵ月間での開発合宿であるブレークスルーキャンプが実現した。

見事なのは、参加23チームすべてが脱落することなく、全チーム、決勝プレゼン大会でデモを披露したことだ。ベンチャー界のトップクラスの審査員を感動させるプレゼン・デモも多数あった。

今後、ベンチャーを中心に、日本がどう変わっていくのか、日本が世界をどう動かしていくのか、回を追って詳しく述べていきたい。

 
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