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赤羽雄二×Shinさん(Outward Matrix)スペシャル対談記事「日本のこれからの働き方」

赤羽雄二×Shinさん(Outward Matrix)スペシャル対談記事「日本のこれからの働き方」

ブログ「Outward Matrix」やオンラインコミュニティ「Players」を運用している若手コンサルタントのShinさんと、「日本のこれからの働き方」についての対談をしました。「Outward Matrix」で掲載されている内容をこちらでもご紹介いたします。

日本は現在凄まじい危機に陥っている

Shin:赤羽さんは今、個人にも企業にも、ベンチャーにも大企業にも、いろんな影響を与え続けていらっしゃると思います。それはどのようなビジョンのもとにあるのでしょうか。どのような世界を実現したいと思われているのでしょうか。

赤羽:はい。「日本への危機感」の一言に尽きます。

Shin:日本への危機感。

赤羽:日本は今、大変な危機にあると理解しています。

日本企業の時価総額は、トヨタ自動車が二十兆円を越していますが、ほかの会社はせいぜい数兆円程度なのです。アメリカの場合は、Alphabetも、Amazonも、Microsoftも、五十兆円から八十兆円くらいの時価総額になっています。今後百兆円を越すことも夢ではない。圧倒的な差がついてしまいました。

赤羽:その差はどこから来ているのか。私は、日本人のIT活用力の低さ、インターネット活用力の低さ、ひいては経営力の低さが根本原因だと考えています。日本は今世界でGDP第三位ですが、一人あたりのGDPで考えると先進国中最下位です。他の先進国や途上国は近年急成長を遂げましたが、日本だけ発展してないんです。

私は日本はとんでもない危機にあると感じています。この危機をなんとかするために、ベンチャー、大企業、個人など、考えられる限り全方位で働きかけています。

Shin:なるほど。バブルの前のいわゆる高度成長期は、日本人も生産性が高かったと考えています。一時期はアメリカを食い尽くすほどの勢いだったかと考えています。何故今はそのような「停滞の時期」に入ってしまったのでしょうか。

日本が自信を持つべき技術と、見直すべき経済力

赤羽:Shinさんが言われたこと自体、本当にそうかどうかよく考えてみたほうがいいのではと考えています。

Shin:「高度成長期の日本人の生産性が高かった」という点ですね。

赤羽:はい。日本は元々、たたら鉄とか、日本刀とか、基本技術のレベルが非常に高い国なのです。零戦も最初は圧勝でした。
第二次大戦で焼け野原になったものの、一気に巻き返しましたよね。一部の産業では、世界でもトップのメーカーが出てきました。例えば富士通は世界最大級の半導体メーカーでした。それ以外にも、日本の繊維、機械、家電、自動車が、アメリカを席捲したという時代がありました。

それだけ見れば、確かにShinさんがおっしゃるとおり、「日本人の生産性はとても高かった」「日本企業の競争力が大変強かった」と思います。

赤羽:ただそれは、「日本企業の経営力が高かったからだ」と考えないほうが前後の説明がつきます。高度成長期には、第二次大戦で全く傷つかなかったアメリカが市場を開放し、何でも買ってくれましたし、韓国、台湾、中国、インドなどからの競争は全くありませんでした。しかも、製品はハードウェアのみで日本人の強みでもありました。これが日本企業の急成長の背景です。したがって、そういった海外の競合が伸びてきた時点で、日本企業の競争力は一気に落ちてしまいました。その後の凋落はご存じの通りです。

赤羽:90年代中盤から、先進国でも発展途上国でもIT、さらにはインターネットの活用が加速していきました。日本の会社はご存知のように、IT・インターネット活用が大変に下手です。意識と理解が低いため、経営戦略への反映も、またオペレーションへの取り込みも見るべきものがありません。

日本の大手銀行はIT活用を標榜しているものの、自前のITエンジニアをほとんど抱えていません。大手SI企業がシステム構築案件を請け負いますが、実際にシステムを開発しているのはその下請け、二次請け、三次請けなのです。このような状態ではIT力はつきません。ITが大事とは言いますが、未だにまともに機能しているCIOは少数です。大半は「情報システム部長」という位置づけで、経営チームにも入りません。

赤羽:あらためて、日本企業が世界的企業と時価総額においてなぜ圧倒的な差をつけられてしまったかを考えてみると、経営力に決定的な差があると考えるのが自然でしょう。高度成長期は特別に環境がよかったと考えたほうが説明がつきます。

赤羽:さらに、日本の大企業では、数十以上の事業を抱えていることが珍しくありません。事業部の四分の一程度は黒字、三分の一は赤字、残りはとんとんと言ったところでしょう。世界的企業なら大ナタを振るうところですが、そのような動きもほとんどないか、尻すぼみになっています。そうでなければ、世界的企業の数十分の一の時価総額の説明がつきません。

つまり、「以前、経営力があったのに、最近の経営者が駄目になった」のではなく「以前は追風が強く吹いたのでよい結果が出たが、追風が吹かなくなったら経営力のなさがそのまま露呈してしまった。なので、事業再構築も、IT活用も、M&Aもうまくできず、時価総額に圧倒的な差がついてしまった」と考えざるを得ません。

経営力が低いのは、最近の経営者の質が低くなったわけではなく、昔から特に高かったわけではないということ、なので経営者を交代させれば済むというわけではない、というふうに考えています。

経営力は、言い換えれば問題把握・解決力です。箱庭の中だけ、ムラ社会の中だけ、島国の中だけでは結構な創意工夫を働かせますが、ことグローバルな厳しい生存競争になると歯が立たない人が、経営者も役員も部課長も一般社員もほとんどなのだろうと思います。

気づいた企業や人でないと勝ち残れない世の中になった

Shin:なるほど。赤羽さんは、プロ経営者の育成や企業のIT活用サポートを通して、日本を他の国に負けないような国にしていこうと考えていらっしゃるのでしょうか。

赤羽:そうですね。本来、十五年ぐらい前にアクションをとっていないと間に合わないくらい深刻な状況だと考えています。結果として、もはや、皆が救われることはあり得ないと思います。「目を覚まして本気で経営改革に取り組む企業」もしくは「これから生まれるまともで革新的なベンチャー」は何とか生き抜いていけるでしょう。また、働いている人もその職種・職位で上位20%に入る力があれば、何とかやっていくことはできます。他の企業、他の人は大変に厳しいことになると思います。

Shin:その上位20%になるためにも、前回のお話にあったとおり、情熱を持ち、スピードを上げ、真摯に努力を重ねていく必要があるのですね。

赤羽:はい。Shinさんが運営しているオンラインサロン「Players」にも、問題意識の強い方、成長したいという方が集まっていると思います。私の本の読者ともかぶるかもしれません。そのような方は昔からずっといらして、頑張っているので、それなりに充実した人生を送ることが出来ていたのではないかと思います。

赤羽:でも、それだけでうまくいっていたのはもはや過去の話です。今は「自分は努力しているからいいだろう」ぐらいでは生き抜くことが出来ません。もっと特別な努力をし、特別な頑張りをしないと、泥沼に落ちてしまうのです。「自分と自分の家族、仲間を守るためにも特別な努力がいる時代」になってしまいましたね。

Shin:この記事を読んでくださっている皆さんの意識を一気に塗り替えるお話、大変ありがとうございました。

>>「Outward Matrix」で読む
 
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