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経営改革を進める第7の鍵: コミュニケーション改善—ポジティブフィードバック、アクティブリスニング徹底

経営改革を進める第7の鍵: コミュニケーション改善—ポジティブフィードバック、アクティブリスニング徹底

→ Read English translation: The Seventh Key: Positive Feedback and Active Listening

経営改革を進めるには7つの鍵を同時に開けること」という提案をさせていただいた。今回は「経営改革を進める第7の鍵: コミュニケーション改善—ポジティブフィードバック、アクティブリスニング徹底」について、詳しくご説明したい。

日本の会社の文化なのか、人を褒めると損だと思ってでもいるかのように、部下を褒めない。部下を叱ってなんぼ、と思っている。部下を褒めると怠けると思っている人もいるようだ。

私はこういう風潮、こういうやり方に全面的に反対だ。叱られて嬉しい人など一人もいない。褒められ慣れていないため屈折した反応をする人はいるが、それと褒める方がよいこととは別問題である。ただ、成果が伴っていないこともあるので、そういう時は褒めるのではなく、やってくれたことに対してねぎらう。努力を感謝する。次からはこうやったら失敗しないよと励ます。

それらを総称して、「ポジティブフィードバック」と呼んでいる。当然、何が何でも褒める、ということではない。

ポジティブフィードバックの徹底

ポジティブフィードバックは実は簡単だ。経営改革を進める際、ポジティブフィードバックの実施を必ず提案し、実行していただくが、ああだこうだ言いながら、それなりに始めてくれる。結果がすぐ出るので、ある意味、コロンブスの卵のような発見がある。

まずは、「どんな小さなことでも褒める。その場で褒める」というところから出発する。日本人男性はこれが苦手だ。考えがあってやらないとか、試してみてダメだったということではなく、単に慣れていないのだ。部下や同僚がちょっと気のきいたことをしてくれたり、いい結果を出してくれたりしたら、躊躇せず褒める。家に帰ってもちょっとしたことを家族に感謝する。それだけだ。家でポジティブフィードバックを始めると会社でもやりやすくなるし、その逆も言える。

「問題指摘、改善内容等は後で伝え、その場は褒めるだけにする」ということも覚えていてほしい。ほとんどの人は褒めた後、それがただの前置きだったかのように問題指摘をしがちだ。これをやってしまうと、「なんだ、珍しく褒めてくれたと思ったらただの機嫌取りだったのか」とがっかりさせ、効果が激減する。裏切られた感じで逆効果でもある。フィードバックしたければ、必ず翌日にするといったように間を空ける方がよい。

「結果が今ひとつだが努力・プロセスはよい場合、「頑張ったね!」とねぎらう。努力・プロセスがよかった場合、今回は残念ながら結果につながらなかったとしても、近い将来、よい結果にむすびつく。それを考えれば、労をねぎらい、その努力・プロセスを続けてもらうように方向づけすることが賢明だ。短気を起こしたり、嫌味を言ったりしたら、そういった正しい努力・プロセスを続けてくれなくなる。

「結果が今ひとつでも、努力に対してきちんと感謝する」ことも同様に大切だ。結果が今ひとつで、しかも努力・プロセスもやや微妙だった場合、上司としては文句の一つも言いたくなる。ただ、少しでも努力した跡があるなら、もう少しましな努力ができたはずだと思っても、まずは感謝しよう。

部下は人生の大切な一部分を使って一緒に働くという選択をしてくれている。少子化でもあり、人はどんどん少なくなっている。まず注意する、叱る、罵倒する、という古いやり方はぜひ卒業していただきたい。これは外国人にも全く通用しない。指導もきちんとしないでがみがみ言う上司からはさっさと逃げていく。

最後に、結果がダメだった時、「今回はうまく行かなかったが、次はこうしよう」と励ます。これができるためには、上司にかなり人間力が必要だ。多くの上司は、結果がダメだった時、まず怒りをぶつける。自分の指導不足のせいで結果がでなかったとしても部下を叱り飛ばす。うっかり、「このクソ野郎。地獄に堕ちろ」ふうなことを言わないようにしないといけない。

腹が立つと、それをコントロールしてうまく隠していると思っていても、隠し通せることはまずない。必ず部下の心を傷つける言葉やボディラングエージを発したりするものだ。これは何としても避けたい。なぜなら、結果が出なかったのは部下のせいというよりは、上司の指導に問題がある場合が大半だからだ。部下が怠けたとしたら、それは普段からの指導や、組織運営のあり方に問題があると考えるべきだ。

アクティブリスニングの徹底

「アクティブリスニング」とは、「真剣に相手の話を聞く」ことだ。相づちを打ちながら、相手の目を見ながら、相手に本気で関心を持って話を聞く。他のことを考えていたり、早く終わらないかな、などと思っていたりするのは当然、真剣ではないし、何より、隠しているつもりでも即座に相手に伝わり、気分を悪くしてしまう。コミュニケーションの根本をしくじってしまうと、本音を話してくれるかどうか以前に敵を作ってしまう。

アクティブリスニングは、技術の問題ではなく、真剣でありさえすれば誰でも即座にできる。実に簡単なことだ。

大事なことは、自分の関心に基づいて躊躇せずに質問していくことだ。適切な質問、十分準備した質問は、質問される側に取って非常に気持ちいいものなので、どんどん話してくれる。

ちょっと調べればわかることは、質問しない方がよい。気にせず話してくれる人もいるが、多くの場合、こちらが真剣でないことが伝わるので、機嫌を悪くするまではいかないにしても、話が弾まなくなってしまう。

経営改革においてアクティブリスニングが大切な状況は、いくつかある。一つは、顧客やユーザーの声を聞く時だ。自社の製品がどう受け取られているのか、どこまで挽回できそうなのかを判断するには、顧客やユーザーの声をしっかりと把握する必要がある。顧客やユーザーの声を真剣に聞かずに、既存事業の抜本的改善も、新事業の創出もあり得ない。

もう一つは、部下や現場の声、実態を把握する時だ。なぜ組織が硬直化してしまったのか、どうすればイノベーションを起こすことのできる組織に戻せるのか、各階層の話を把握して、問題の本質を明らかにする必要がある。

どちらも、こちらに聞く姿勢があれば本音を話してくれるし、聞き方に少しでも微妙なところがあれば、うさんくさく思われ、心を閉ざされてしまう。人としての基本中の基本であるが、できていない人が実に多いので、ぜひとも身につけたいところだ。

ポジティブフィードバック、アクティブリスニングの効果

ポジティブフィードバックとアクティブリスニングを組織内で徹底すると、人と人との関係がより建設的なものになる。余計な軋轢やコミュニケーションミスがなくなる。

経営改革のようにストレスが起きやすい時はなおさら、ポジティブフィードバックとアクティブリスニングにより人と人との関係をスムーズにし、社長の新方針が効果的に伝わるようにすべきと考えている。

そういう組織は硬直化しない。会社で仕事することがわくわくする。事業は大変な状況でも、前を向いて明るい気持ちになれる。経営改革を進めていく上で、重要なエネルギー源になる。

 
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