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部下をきめ細かく育成する ~「世界基準の上司」を目指して(第5回)~

部下をきめ細かく育成する  ~「世界基準の上司」を目指して(第5回)~

自分が部下だった時を思い出す

不思議なことに、ほとんどの上司は、上司になってすぐ、自分が部下だった時のことをすっかり忘れるようだ。ほんの数年前まで部下として嫌な思いをしていたとしても、自分が今、上司としてまずい接し方をしているかどうかはあまり気にならないらしい。相手の立場で物を考えない。立場を変えて考えてみる、部下の立場から自分を見てみる、という実に簡単なことをあまりしようとしないようだ。

昇進して自信をつけたということもあるだろう。あるいは重責への緊張感や気負いもあるだろう。ただ、自分がほんの数年前まで部下として、上司に対して何を感じていたか、どういう上司に感動したか、どういう上司を軽蔑していたか、そういったことは結構忘れているようだ。

でも、これはとても大切なことなので、少しだけでも思い出そう。どんなにくやしい思いをしていたか、どんなに理不尽な扱いに憤りを覚えていたか、思い出そう。

立派な上司になるには、そういった自省が何よりも必要だ。そうしないと、人にいくら言われても、何ら響いてこない。本気で改善しようと思わない。

部下の間に上司への思いや仕事上の不満をメモに書いてとっておくと、大変に役に立つ。「そうか、そういうふうに感じていたのか。あの頃、上司のちょっとした言動に対してこんなに怒っていたのか」と思い出すだけでも、大変効果的だ。

部下を持ってまもない人は、ぜひ何とか思い出して書き留めてほしい。ものすごく役に立つ。

「部下」とひとくくりにしない。一人ひとり違う

上司は自分一人。一方、部下は3人いたり、20人いたりする。そうすると、どうしても「上司対部下」という構図で見がちになる。「俺の部下は~」「私の部下は~~」とか、「部下のやる気がなくて~」とか、どうしてもひとくくりにして見てしまう。

ところが、自分が数年前にそうだったように、自分と同僚、やる気を失った先輩社員、できの悪い後輩は一人ひとり全く違う。仕事への取り組み姿勢も、週末の過ごし方も、普段からの努力のしかたも全く違う。できる人はできるし、できない人はできないし、ともかく皆違っていた。「人とは一緒にしてほしくない」「皆と一緒くたにして部下がどうのこうの、言ってほしくない」、そういうふうに思っていたはずだ。その時のことを忘れないでいてほしい。

上司はぜひ、部下をひとくくりにせず、一人ひとり分けて仕事内容、長所、成長課題、やる気の強さ、価値観等を観察し、対応したい。

ある部下はやる気も能力も高い。継続性もあるし、コミュニケーションのセンスもいい。別の部下は、やる気は人一倍あるが、やや波がある。本人もわかっていて、何とかしたいと思っているが、落ち込んだ時はしばらく回復に時間がかかる。

また別の部下は、自信がなく、何とか結果を出したいとあれこれ動き回るが、人の言うことを真剣に聞かないので、いつも危ない橋を渡っている。結果オーライになることもあるが、失敗して自己嫌悪に陥っていることもよくある。

名前が一人ひとり違うように、部下の能力、適性、気持ちは皆違うのだ。それに対して「部下」とひとくくりにせず、きめ細かく対応したい。

「そんな時間はとてもない」という声がすぐにあがると思う。でも、そう思っていたら何も始まらない。部下一人ひとりの仕事のしかたを改善し成果を出してもらえるようになれば、観察し、対応する時間など、大したことはない。

しかも一度部下が成長すると、上司の時間を取ることなく生産性がどんどん上がっていく。また、他の部下の刺激になり、コーチングもしてくれる。一気に好循環が始まる。部下同士のノウハウ共有、ベストプラクティス共有、失敗事例共有等を進めると、部下同士で刺激し合い、一人ひとり違うものの、それぞれ急速に成長してくれる。

「部下」とひとくくりにせず、一人ひとりをきめ細かく育成することで、効果的にチームを強化することができる。

先入観なしに相手の話を聞く

誰に対しても同じだが、特に上司が部下と話す場合、先入観なしに相手の話を聞くことが重要だ。経験と自信のある上司は、何事にも仮説を持っており、話を聞かずに決めつけたり、早合点したりしがちだからだ。自信のある上司ほど陥りやすい罠だ。

先入観を持って話を聞くと、問題がいくつも生じる。

第一に、部下は上司が先入観を持っていることを直ちに察知し、「この人と話をしてもしょうがない」と思う。心を閉ざしてしまい、当たりさわりのない話だけになる。上司は先入観をうまく隠しているつもりでも、必ず見抜かれると思った方がいい。人の気持ちや考えは、まず隠せない。自分をどう見ているかに関して、皆、感度はそこまで低くない。

そうすると、「この上司は人の話を聞かない」という烙印を押されてしまうだけだ。その話はすぐ他の部下にも伝わる。意図的に伝えられる。彼・彼女が他の部下と仲がよかろうが悪かろうが関係なく、「共通の敵」としての上司の悪口は共有される。一度共有されると、皆警戒するので、余計に挽回が困難になる。もちろん、人に先入観を持って接すると、部下以外でも同じ問題が起きるし、ともかくよいことは何もない。

第二に、先入観を持っていると、自分の結論に合わせた話しか耳に入らず、間違った結論を出してしまう。ある程度仮説を持って話を聞くのはよい。一応目星をつけておく、というだけだ。したがって、話を聞き始めて自分の仮説が違っていたと思えば、その場で柔軟に修正していくことができる。

一方、先入観はそういった修正可能な仮説よりもはるかに強く、「こうだろうという思い込み」になる。仮説ではなく、確信に近いものなので、容易に修正できない。現状把握をした上での仮説ではなく、自ずと間違った結論になりがちだ。

第三に、一度何かに先入観を持つようになると、考える作業、検証する作業をストップしがちになり、楽をすることになる。そうすると、知的にやや怠惰になり、他のことに対しても検証作業をさぼりがちになる。したがって、余計に先入観(=思い込み)を持つことが増え、仮説思考やダイナミックな問題解決からより遠くなってしまう。

部下の発言、行動を見守る

上司は、部下一人ひとりの発言、行動を見守り、誰が何を考え何をしようとしているのか、今何に困っているのか、何が好きで何が嫌いなのか、といったことをできるだけ詳細に把握する。

少し「おかしいな」と思っても、いちいち口だしをしていると、部下は萎縮し、自分から動こうとはしなくなるものなので、合意した計画通りに進め、十分なコミュニケーションをとれている時は、なるべく見守っている方がよい。よほど大きく逸脱し始めるまでは、本人を信じて任せることだ。

アウトプットイメージ作成アプローチを取ると、最初に合意した計画を進めつつ、頻繁に進捗確認をするので、大きく逸脱することが全くなくなる。そうすると、進捗確認と進捗確認の間は任せきればよい。時間は大して取られない。その気があれば色々なところで見守ることができる。上司の立場からだと時間が限られていても、かなり多くのことを観察し、見守ることができる。

アウトプットイメージ作成アプローチを取れない場合でも、最初に計画に合意することは絶対に必要で、その計画通りに進んでいるか、逸脱し始めたかだけは部下から確実に伝えさせる必要がある。その前提で、発言、行動をなるべく見守るようにする。

ただし、悪循環にはまりかけた時の部下は一人で挽回しようとし、上司に知られないようにしようとしがちなので、悪い情報こそすぐに伝えるように、またそういった部下の同僚からなるべく早く伝わるようにコミュニケーションルール、組織の行動規範を確立しておく必要がある。

 
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