書類の半分以上が無駄
これまで多くの企業の経営改革、新事業創出支援などに関与させていただき、社内会議も各層で参加させていただきました。その際、いつも思うのは、会議向けに作成される書類の半分以上が無駄、あるいは過剰としか見えないということです。
作成されている部課長もその点はよくわかっていて、しょうがなしにやっているように見えます。といっても実際に長時間かけて書類作成しているのは、彼らの部下の方々なので、いつも気の毒に感じています。
社長あるいは役員が会議資料を作ることになれば、彼らは多分1ページで十分だと主張するでしょう。
ところが、そういう素敵な企業はもちろんあまりありません。ほとんどの社長、役員は、社内でかかる膨大な人件費、また意思決定が遅れることによる事業機会ロス、費用増大についてはなぜかほとんど気にされないようです。
新商品開発であれば、何度も何度も会議が繰り返され、結論が持ち越されます。そのたびに、社長あるいは役員からもっともらしい指摘があり、宿題が出て、チームはそれを満足させることにほとんどのエネルギーを奪われます。ただ疲弊するだけではなく、顧客ニーズに答える問題解決や事業立ち上げが数ヶ月から数年遅れ、事業チャンスを失っていくので深刻です。
書類の半分が無駄なのか、1,2割程度無駄なのか、それとも7,8割無駄なのか、は興味深い点です。ただ、その厳密性を追求しても、あまり意味はありません。私としては7,8割無駄と言いたいところですが、過激すぎる、という声も出そうですので、「半分以上が無駄」という表現に押さえておこうと思います。
すべての書類のページ数を半減
では、どうしたらいいでしょうか。ほとんどの社長、役員は、自社の書類の量が多いことはまあまあ理解しておられます。「書類を減らせ」という指示を出されることも希ではないでしょう。その指示が出た直後は少し減る場合が多いようです。
ただ、その程度では、書類作成へのエネルギーを止めることはできません。皆、できるだけ詳しく、網羅的、あるいは場合によっては玉虫色に書くことで、責任逃れをしようとしているからです。責任逃れだけではなく、そうしないと上司の追及をかわすことができないからです。
担当者が5ページ書くと、上司の課長がこれも検討しろあれも検討しろということで15ページくらいにします。もちろん、担当者が足します。課長がそれを上司の部長に報告すると、さらに課題が追加され、25ページほどになります。報告会では議論すべきテーマが10個ほどある場合もありますので、1時間半待ったあげく、5分で報告せよ、ということも多くあります。それどころか、今日は審議時間がなくなったので、2週間後に持ち越し、ということも少なくありません。その2週間の間に部長はあれこれ考え、あと10ページくらい追加させます。
こういうことを考えると、書類を減らす現実的なやり方は、社長の号令で、すべての書類のページ数を半分に減らせと命令するくらいではないでしょうか。事務局がそれまでの資料のページ数を知っていますので、真面目にフォローすれば決してできないことではありません。
会議の時間を半減
同時に進めるべきなのは、会議の時間です。会議の密度の低さをいつも見ていますので、半減のチャンスは十分に大きいと断言できます。
1時間だった会議は30分で、2時間だった会議は1時間で、というふうに、すべての会議を今日から半分の時間で実施するわけです。
私の経験上、こういうことで問題は起きません。何より、議事進行がスムーズになります。躍動感が出て、のんびり会議をしている場合じゃない、という雰囲気になります。出席者があせって、むしろ従来以上に発言が増えますので、コミュニケーションできなくなる、という問題も別にありません。
会議は意思決定をする場であり、ゆったり発表を聞いたり、あれこれけちをつけ続けたりする場ではないのです。
議事録はほとんど無駄
ほとんどの企業では、会議中に議事録を取っていると思います。私もよくそれを送っていただきますが、いったい誰がそれを見て、行動を起こしているのでしょうか。どれほどの価値があるのでしょうか。
しかも出席者中で一番ジュニアな人が議事録を取る係になり、ひたすらパソコンで入力し続けるのが普通です。書記には発言の余裕も発言する立場もなく、議論の流れを追うよりは入力に集中し続けるので、大して成長もしません。
私のお勧めは、会議をする場にホワイトボードを1台持ち込み、会議リーダーが議論をリードしながら現状認識を左に簡単に書き、「じゃあこうしよう」という合意案を右側に書くというものです。これで十分で、むしろ皆の意識が決定事項に集中するので効果的です。書いたホワイトボードの画像を参加者に送れば、議事録が即完了です。
誰が推進すべきか
では、こういった活動を誰が推進すべきでしょうか。
それは文句なしに社長です。全社の意思決定の方法を変え、仕事のしかたを根本から変えることですので、部下に丸投げしても、なかなか変わりません。その部下の方が真剣に進めようとしても、社長の本気度が見えないということで、皆が足元を見て、お茶を濁す程度の変化しか起きません。数ヶ月するとなし崩し的に会議時間がまた延び、書類のページ数も増えていきます。
社長が、自社の競争力を上げ、大きく変化する事業環境に対応できるスピードをつけたいと本気で思うならば、自身の意思決定スタイルを変え、質問のしかたや議事進行のやり方を変えることが出発点になります。下の人から変えることは、ほぼ無理です。
社長が本気でコミットしておられるなら、決してむずかしいことではありません。無駄な会議をなくし、無駄な書類作成をなくし、全社の意思決定スピードを上げたいならば、社長の率先垂範と、一貫性のある指示、フォローが大いに期待されます。
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