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【第14回】ブロックチェーンがもたらす事業部運営の変化:より厳密な経営遂行ユニットへ

【第14回】ブロックチェーンがもたらす事業部運営の変化:より厳密な経営遂行ユニットへ

ここ数回に渡ってブロックチェーン革命を乗り越えるために、組織としてどのように立ち向かっていくかについて触れてきました。今回は、ブロックチェーンによって組織構造自体がどのように変化していくかについてお話したいと思います。

スマートコントラクトによってすべての経理・会計業務が自動化されたら

あと数年してブロックチェーンとスマートコントラクトが普及すると、すべての経理・会計業務が安全、確実、安価でリアルタイムに自動処理できるようになります。

ビットコインやイーサリウムでできるかどうかは微妙ですが、例えばIOTA(イオタ)はIoTをサポートするブロックチェーンとして先週上場し、時価総額1650億円($1=110円)を実現して世界中を驚かせました。産業界や市場の期待は大変大きい状況です。トランザクションコストが無料で、かつ処理量も莫大にこなせます。

IOTA以外にもまだいくつもの革新が必要ですが、遅かれ早かれ、すべての経理・会計業務が自動化されることはまず間違いないことだと思います。決まりきった作業であり、人が手作業でやり続ける意味が全くないからです。判断業務の部分はもちろんありますが、恣意的にやらないためにはむしろ人手を完全に排除することが必要です。東芝などでの不正会計、粉飾の可能性をゼロにすることもできます。

もちろん、スマートコントラクトの設計にインチキがないように確認・監査する必要はあります。

これらの結果、事業部ごとの業務や財務状況が人手を全く介さず、リアルタイムで把握できるようになると理解しています。

これは大変なことで、ローマ時代に簿記が発明され、14世紀に複式簿記が発明されて以来の大きな変化をもたらすのではないかと勝手に考えています。

事業部がどうなるかの大胆な仮説

すべての経理・会計業務が安全、確実、安価でリアルタイムに自動処理できるようになったとき、企業経営がどうなるのか、事業部がどうなるのか、ということに関しては、世界中見渡しても、まだどこにも詳しい見解が述べられていません。

多分、企業経営に詳しい人、経営改革に詳しい人、ブロックチェーンとスマートコントラクトに詳しい人がばらばらで、しかもダイナミックに変化している真っ最中なので、そういうことなのだろうと思います。

ということは言ったもの勝ちなので、内外大小の多数の企業の経営改革の経験とブロックチェーンとの深い関わりをもとに、大胆な仮説を述べさせていただきます。

私個人の意見ですので、「いやこうではないか」「こう考えたらもっと意味があるのではないか」という意見をどんどん出していただければ非常に嬉しく思います。

事業部がどうなるのか、またその意味合いがどうなるかということに関して私の仮説は以下の通りです。

  1. 事業部の経営・運営状況が常時把握されているので、KPI(Key Performance Index 経営指標)経営がより徹底される。
  2. 何をどうすればより売上・利益を拡大できるのかが瞬時に提示されるので、経営判断、方針変更がより早くなる
  3. その俊敏で的確な判断ができる事業部長が生き残り、のんびりとした勘と人脈、人柄で生きてきた事業部長は淘汰される
  4. 業績、企業への貢献が不透明だった役員、部長、課長の貢献度がKPI達成の一部として明示されるので、どの階層も成果を出すことに全力を挙げるようになる。成果を出せない役員・管理職も淘汰される
  5. IoTやウェアラブルの活用で、誰が誰とどうやり取りしているか、会話しているか、仲間作りをしているかなどもすべて把握され、貢献度との関係が明示される
  6. 企業全体として見た場合、黒字事業部の業績をどうすればより早く向上できるのか、赤字事業部をいつまでにどう黒字化するのか、どこで見切るのかの判断が明確になる。従来のように赤字のテレビ事業を10年維持・放置するといったことがなくなる
  7. 買収先の企業の業績も瞬時に把握できるので、PMI(Post-Merger Integration 買収後の経営統合)スキルの高い企業がさらに成長する
  8. KPIですべて把握できるようになる分、目先の利益だけではなく、中期的な成長に関するKPIにも関心が高まり、人材育成、組織文化醸成、リーダーシップなども定量化され、評価されるようになる。米国的な「株主価値の最大化」が偏った視点であることが改めて確認される
  9. ブロックチェーン、スマートコントラクト化は、社内全体、取引先全体と同時に進めなければ機能しないので、経営者が断固たる決断で進めたところが先に果実を得る。一度その方向で動くと、好循環が続き、対応していない企業が全く追いつけない状況ができる

といったものになるです。考えているだけで楽しいですね。

求められる事業部長の変化

この結果、上記の3,4に触れたように、事業部長はうかうかとしていられなくなります。経営状況がリアルタイムですべて把握できますので、最善の判断を素早くし続ける必要があります。しかもそれをストレスと感じない、強靱さ、深い思考力も必要です。

即断即決、即実行をしつつ、中期的、長期的な視点も合わせもち、単なるサービス、アプリからプラットフォーム化を目指すなど、戦略的視点がこれまでになく求められるようになります。

また、ブロックチェーン・スマートコントラクト化が一気に進むわけではないので最速で経営改革を進めつつ、ブロックチェーン新事業を複数立ち上げて勘どころをつかんでおくなども、事業部長の身のこなしとして必要になります。

部下の活動、貢献度も4.で触れたように明示されますので、人のマネジメント、組織マネジメント力も従来型のリーダーシップとは少し違ったものになっていきます。

部下に関しても、より的確なKPIマネジメントをする必要が出てくるわけです。

 

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