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部長がしかける経営改革 7つのポイント

部長がしかける経営改革 7つのポイント

トップをどう動かすかがすべて

家電・機械を始めとして、大企業も中堅・中小企業も経営状況が極めて厳しい企業が増えていることと思います。小手先の改善ではもう埒が明かない状況で、本格的に事業構造にメスを入れ、人員削減にも手をつけ、流通網も再編する必要が多くの企業で生じています。

つまり、本格的な経営改革が待ったなしで必要になっています。ところが、肝心の社長が危機意識をあまりもたず経営改革を先延ばしにするので、部長が不安に思っている、ということがよく見られます。

この場合、部長から社長に具申し、経営改革に着手する必要があります。いつまで待っても社長から動くことはほぼ期待できないからです。

社長によっては、「今年こそ経営改革を本気で推進する」と10年間、年初に宣言し、やるやると言いながら何もしない方も多いことでしょう。部長もよくご存じのはずです。

社長の背中を押し、旗振りをしてもらって、本気で経営改革に取り組まなければ、3年先の自社は極めて危ない、ということを多くの部長はご存じでしょう。今こそ、社長を動かしていくことが急務です。先はありません。

社長は、関心がないわけではない

なぜ社長は経営改革を推進しないのでしょうか。口にするにせよ、しないにせよ、社長の立場で、会社の将来を心配しない方は多分いらっしゃらないと思います。

「あのぼんくら社長が」と思っても、また不安そうな顔はいっさいしなくても、社長は社長。それなりに何とかしたいと思っておられることがほとんどです。

ただ、どうやったらいいかわからないので、下から見たら関心がないように見えてしまっているだけです。

あきらめず、ぜひ社長に重要性を説明し、理解を深めてください。

現場の危機意識が強くても、社長が驚くほど理解していないことが多いので、実態を伝える必要があります。

ほとんどの社長は、経営改革をリードした経験がない

部長からみると、会社の将来を考えてアクションを起こすのは社長の仕事ではないのかと思われるかも知れません。それはその通りですが、社長はそれほど立派な方々ばかりではありません。

たたき上げの創業社長は別ですが、2代目社長あるいはそれ以降のほとんどの社長は、経営改革の経験も、ましてやそれをリードした経験もないのが普通です。

なぜないのか。経営改革は言葉としては広まっていますが、ほとんどの会社では本気で取り組まれることがあまりありません。あったとしても、やみくもに人員削減をしたり、いくつかの事業を閉じたりしてその場しのぎをし、また追い風が吹いて調子がよくなってきたら、そのままになってしまいます。

3~5年間、継続して経営改革に取り組み、事業再編をし、事業の競争力を本気で挽回・強化したりすることは数十社に1社あるでしょうか。ですので、大半の社長は経営改革がどういうことなのか、どのくらい大変なのか、どのくらいのコミットメントが必要なのか、社長のリーダーシップがどれほど重要なのか、ということがあまりわかっていないのです。

意外かも知れませんが、考えてみれば当然です。

部長の皆さんは、中途採用でなければ、新入社員のときから15~25年、その会社にいらっしゃると思いますが、本格的な経営改革はそのうち何年あったでしょうか。多分、あまりないでしょう。

社長は数年前まで副社長だったり専務だったりしたわけで、皆さんより10~20年社歴が長いだけです。皆さんの入社前、彼らが20~30代のときに経営改革があったとしても事業環境が全く違いますし、記憶も薄くなっています。ましてや、経営改革をリードした経験はほとんどないと思います。

下から働きかけてその気になってもらう

社長が30~40代のとき、その会社は右肩上がりで成長していた可能性が大きいです。そうすると、どうしても事業の状況を見て悲観的に考えるよりも、楽観的に見てしまいがちです。

そういう社長に対しては、問題意識の強い部長から働きかけて、いかに深刻なのか、いかに今すぐ動かないといけないのか、いかに社長のリーダーシップが今ほど必要とされることがないのか、理解していただかなければなりません。

こういう上への働きかけを「上司マネジメント」といいます。部下が上司を動かして、より大きな成果を出すことを言います。上司、特に社長マネジメントも部長の仕事のうちです。ぜひ現場の深刻度をよくわかっている皆さんから社長に働きかけ、経営改革に本気で取り組むようにしかけていってください。

ほとんどの社長は経営改革にネガティブなのではなく、単に知識・理解不足のほうが大きいです。社長の職を失うわけでもなく、名誉をけがすわけでもなく、皆から大いに恨まれてしまうわけでもないので、会社の危機を救う、救世主になれることをよく理解してもらいましょう。

多くの場合、社長は驚くほど現場の深刻さを理解していません。聞く気がないのではなく、部下がまた顧客が社長には本当のことを言わないので、悪意なく「裸の王様」になってしまうのです。それも含めて社長の責任ではありますが、そういっても何も始まりません。

経営改革推進チームがどうしても必須

経営改革は簡単なものではありません。会社の置かれた状況を冷静に判断し、問題点の構造にメスを入れ、顧客および競合の動向を理解して生き残り策を立案し、皆の反対を押し切って断固として3~5年実施し続けることが必要です。

どんなにリーダーシップの強い素晴らしい社長でも、ただ号令をかけているだけでは、組織の保守性、慣性を変え、人の行動を変えることはなかなかできません。

社長の意をくんで経営改革のグランドデザインをし、事業再編、人員整理、売上向上、コスト削減、営業力強化などのプロジェクトを次々に推進する専門チームがどうしても必要です。それを経営改革推進チームと呼んでいます。詳細は、「経営改革を進める第4の鍵: 高度な経営支援能力の構築-経営改革推進チームの設置と実践トレーニング」をごらんください。

経営改革推進チームは、重要経営課題に対して部門横断的に組成されるプロジェクトチーム(3~10チーム)に対して、問題把握・解決力を提供し、顧客インタビューのしかたをコーチングし、的確な現状把握、アクション立案、実行支援をします。

各部門の優秀人材を5~10人集め、社長直下の組織として経営改革推進チームを設置し、半年程度のプロジェクトを4~6件続けて支援することで、経営改革推進力を身につけていきます。

少しずつ動かすのではなく全社同時に

経営改革を進める際は、少しずつ動かすのではなく、全社同時に進める必要があります。1事業だけ、1部門だけ経営改革プロジェクトを進めようとすると、不公平感が出て不満が生まれますし、当該部門以外は、経営改革への関心を全く持ちません。「何かやらされて気の毒に」くらいの冷めた見方がせいぜいです。

経営改革が必要な会社においては、早急に解決すべき課題が5~10個はあるはずです。同時にプロジェクトを発足させキックオフミーティングをして、6ヶ月以内に結果を出し、アクションプランを実行するよう、「よーいどん!」で進めていくのがこつです。

経営改革推進チームも最初から全部を支援することはできませんので、最も重要な3プロジェクト程度を支援し、その支援状況を他のプロジェクトにも共有するくらいで進めるほうが競争意識も生まれ、よい結果が出ます。

 
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