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【第4回】ダイナミックですばやく動けるチームとは? 残業ゼロ時代に活躍できる組織づくり

【第4回】ダイナミックですばやく動けるチームとは? 残業ゼロ時代に活躍できる組織づくり

こちらの連載では、ホワイトカラーの残業ゼロに本気で取り組むための具体的提案をご紹介している新著『最少の時間で最大の成果を上げる最速のリーダー』の中から、残業削減や生産性の向上のための具体的なポイントを、全6回にわたってご紹介します。
第4回は、残業ゼロを実現する組織づくりについて。

ダイナミックですばやく動けるチームに変える

残業ゼロを実現するには、一人ひとりの行動を変える以前に、組織の簡素化が必要です。ダイナミックですばやく動ける組織、電光石火で意思決定ができる組織でないと、一 人ひとりがすばやく動けないからです。

そのために、会議・書類削減などと並行して、次の7つの観点から組織改革を進めていきます。 これらの改革は大企業病との戦いでもあります。中堅企業あるいは中小企業でも、大企業病がかなり蔓延しているので、躊躇なくメスを入れていく必要があります。

改革1・全社組織を簡素化し、 意思決定プロセスを短縮する

多くの大企業、中堅企業には驚くほどの階層があります。それぞれのポジションの人が何らかの組織を持ちたがりますので、組織が過剰に複雑化します。これをなるべく減らす必要があります。

(代表取締役)会長・代表取締役社長 ・(代表)取締役副社長 ・専務取締役、執行役員 ・常務取締役、執行役員 ・取締役、執行役員・事業本部長

この全員が意思決定プロセスに関わろうとするから、意思決定に時間がかかるのです。
意思決定プロセスの短縮を進めるには、組織全体の見直しと簡素化が必要です。

①残業ゼロ時代の会社のビジョンを改めて決めます。
②ビジョン実現のための全社戦略を簡潔にまとめます。
③戦略を実行するために必要最小限の組織の構造を決めます。
④事業部長・部門長以上の責任・権限・必要スキルを明確にし、ポジションを決定しま す。今後5年間のローテーション計画を立て、必要な人材の採用を開始します。
⑤事業部長、部門長を発令し、異動します。
⑥その他役職の人事を決めます。
⑦全社人事異動をいっせいに発令します。

ここまでを残業ゼロ宣言の半年前に実施しておきます。組織が簡素化されて風通しがよくなっていますので、残業ゼロに取り組みやすくなります。

多くの中堅・大企業の組織は形骸化しており、過去の会社の慣例を引きずっています。 組織を常に見直し、意思決定プロセスを最短にし続けておくことがスピードアップや生産性・付加価値向上の出発点になります。

改革2・事業部内の階層はできるだけ減らす

大企業は当然ながら、中堅企業でも、事業部内の階層がびっくりするほど多くなります。

事業部長・副事業部長・事業部長補佐・部長・副部長・課長・課長補佐・主任・一般社員

こんなに階層が多くては、最低限の資料でさっさと仕事を進めたり、会議を迅速に進めたりすることは到底できません。残業ゼロ宣言の半年前までに過剰な組織階層を一気に減らします。 それはどんなに優秀な事業部長がいても、階層が減らなければ、残業ゼロの実現は難しいからです。 階層削減は経営者が主導する必要があります。人事制度が絡むので、事業部長の一存では進められないからです。 必要のない役職を一気に減らせばいいだけです。本当の意味で難しいことでも何でもなく、ただ決断するだけです。

改革3・ポジションごとに後継者を3名ずつ置き、常に競争させる

ダイナミックですばやく動ける組織にするには、各ポジションに後継者を3名ずつ置き、常に競争させることが必要です。組織においては、各人の成長が何より大切であり自身のポジションが安泰であれば、競争心を忘れ、人の成長は止まってしまうからです。

事業部を例にとってご説明しましょう。
すべての事業部に事業部長後継者を3名ずつ置き、常に競争させます。この場合、2名はその事業部内の部長、1名は他の事業部長か部門長、あるいは他の事業部の部長、部門長の下の部長が対象になります。本社のスタッフ部門で3年前後貢献したら、事業部に戻る、といったやり方が効果的です。

3年というのは、中期計画にもある程度関わり、コミットしてもらうために2年では短すぎるからです。また5~10年間、経営戦略や経営計画を担当する部長、課長は、現場から乖離してしまいますので、ローテーションが必要です。

また事業部長候補の3名には、純粋に、部長としてのミッションに集中してもらうため、候補であることを意識させないほうがよいでしょう。

一方、すべての部長には、常に「もし自分が事業部長だったらどう行動するか」を考えて、発言してもらうようにします。同様に、すべての課長には、自分が部長ならどう行動するかを想像してもらいます。そうして初めて、視野が広がり、直近以外の業務を見ることができるのです。すると実際に昇進したときに、それほどあわてずに最初からトップス ピードで走ることができるようになります。

すべての階層で、上司が部下に対して、「仕事の成果の出し方」「部下への丁寧なコーチングのしかたの見本を見せる」というカルチャーをつくることのほうがよほど効果的ですし、大切だと思います。

改革4・人材を育て、かつ組織間の壁を壊すため、ローテーションを行う

人材を育て、かつ組織間の壁を壊すためには、ローテーションを確実に行うことが必要です。ローテーションとは、事業部、部門を超えた人事異動です。上司も部下も変わり、 また業務内容も変わるので、本人にはストレスになりますが、大きく成長するきっかけに なります。

ローテーションは、全社で体系的に行うべきものです。これにより、人材は育ちますし、他事業部・他部門にもかつての仲間とのコミュニケーションがスムーズなので、協力関係もつくりやすくなります。

ローテーションはどこの会社にもありますが、おざなりになっていることが多いと思います。そうなると、他の部門や上司、顧客、地域などを知らないため、 考えが固まってしまい、自由な発想や行動が苦手になってしまいます。成長もしませんし、他部門に仲間もできません。 残業ゼロを推進しようとしても「それはできない」「前にやって失敗した」「無理、無理!」ということで固定観念が障害になります。

すぐに解決できることではありませんが、組織の健全な成長のため、全社組織を見直すと同時に、計画的なローテーションを改めて徹底する必要があります。

改革5・「議論よりスピード・行動重視」 という価値観に変える

残業ゼロを実現するには、仕事のスピードが何より大切です。

これまでの私自身の経験、またクライアント企業での経験を踏まえると、対症療法的に何かのプロジェクトを実施してもその場しのぎになるだけです。「スピードが命」という組織文化をいかに定着、習慣化させ、不動の文化として確立するかが大切なのです。

「スピードが命」という組織文化を定着させるために、ぜひとも共有し実施していただきたい8つのポイントがあります。どれも当たり前のことですが、日本企業の多く、特に大企業には急ぐ文化がほとんどなかったため、実践的であり効果的なものです。

①会議はできるだけ少なく、できるだけ少人数、短時間で実施する。
会議参加者の人件費もさることながら、会議をすること、会議を続けることによる時間のムダ、つまりスピードロスが残業ゼロの大敵です。

②書類はできるだけ少なく、最少ページにする。
仕事のほとんどが書類作成という方がかなり多いと思いますが、上司の多くは部下がどれほど資料作成に時間を使っているか、エネルギーをムダにしているかには無頓着です。上司は部下に注文ばかりつけるのではなく、どうしても必要不可欠な書類だけに絞り、 その作成に直接関わって最速で仕上げていく必要があります。

③すべての階層で、すべての意思決定を最速で行う。
あらゆる理由の中で、意思決定に時間がかかることが、一番残業ゼロの邪魔をしています。即断即決がいかに大切か、あまり意識されていないようです。

④すべての階層で、決まったことは即座に実行する。

⑤すべての階層で、やらないですむ仕事はできるだけ廃止する。

⑥重要な仕事でも、できるだけ短時間で終わらせる。
すばやく仕事を終わらせることをよしとしない人が少なからずいますが、仕事が速いことと雑な作業は別の話です。時間をゆっくりかけてもいい加減な仕事は多いのに、「時間をかければ、よい仕事ができる」と型にはまった見方をしがちです。

⑦すべての仕事は、顧客への価値増大、自社の利益増大に集中する。

⑧スピードアップを図るため常に工夫し続ける。
スピードアッ プを工夫し続けると、スピードだけではなく、実はすべての仕事を「どうすればもっとうまくできるか」という視点で見続けることができ、様々な改善が進みます。

残業ゼロ実現には、このような地道な努力がまず必要です。号令だけでは、何度繰り返しても体が速く動くようにはなりません。基本的な価値感に立ち返って経営者が率先垂範し、見本を見せ続ける必要があるのです。

改革6・「部下をどれだけ育てたか」を上司の重要評価項目とする

ダイナミックですばやく動ける組織を生み出すには、人がどんどん育つ環境が必要です。人材が滞留せず、次々に新しいことにチャレンジし、成果を出し、成長していく、そういう環境です。

私はマッキンゼー以来、数百社、数千人の部課長と接しましたが、部下をどれだけ育てたかが自身の重要なミッションであることを認識し、行動している部課長は決して多くありません。もちろん誰でも、部下育成、人材育成が大事だと言いますが、実際にどうやって育てればいいのか、どうすれば育つのか、納得のいく説明ができ、かつ実行に移している人にはなかなかお目にかからないのです。

また、会社側も、部下をどれだけ育てたかを上司の重要評価項目にしているところはあまりありません。成果重視は当然ですが、部下育成が二の次では、中長期的スパンで考えるとマイナスです。人材は企業の競争力の源泉なので、目の前の成果以上に重要とも言えるものですが、そういう見方をしている企業は、ほとんどありません。

残業ゼロ組織は、日本企業にとって大きな革命になります。 経営者を始めとして、あらゆる上司が率先垂範して残業ゼロを体現しつつ、部下をどれだけガイドし、育てたかを上司の重要評価項目にすると効果的です 。

改革7・人事部門に全社の最優秀人材を配属する

残業ゼロや生産性・付加価値を大幅に上げるには、これまでの日本企業のやり方、組織 のあり方、さらには人事制度を根本的に見直す必要があります。そのきっかけであり、転換点にするには、人事部門に全社の最優秀人材を配属することです。

経営者が残業ゼロと生産性・付加価値向上、そして競争力向上を本気で目指すならば、 改革をスムーズに進めるため、人事部門に全社の最優秀人材を配属するのが賢い打ち手になります。

人事部門の経験は必要ありません。問題把握・解決力、リーダーシップに優れていて、 人間力のある人材を配属します。人事部門にそのような人間力のある優秀な人材が配属されると、社員からの不満、苦情 が一気に減り、問題の未然防止もできるようになるので、残業ゼロの実現がより確実なものになるのです。

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▼本書の内容を全6回にわたってご紹介します。
第1回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 前編 –
第2回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 後編 –
第3回「「残業ゼロ」は女性や外国人社員を雇うヒントにも
第4回「ダイナミックですばやく動けるチームとは? 残業ゼロ時代に活躍できる組織づくり
第5回「まずは部下より自分が変わる!残業ゼロで成果をあげるリーダーの仕事術

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