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自分がブラック上司になりそうなら

自分がブラック上司になりそうなら

ブラック上司?

過労死や、会社でのストレスがもとで自殺するケースが相次いでいます。何度起きても大した対策がとられずなくなりませんが、これは人ごとではありません。あなたの部下も同じようなストレスを抱えて、いつ時限爆弾が爆発するかもしれないからです。自分のかわいい弟が、妹が同じように自殺したと考えたら、痛みをもっと直接的に感じられるかも知れません。

ブラック企業が頻繁に話題になりますが、それに輪をかけて「ブラック上司」が多いのではないかと考えています。

ブラック上司とは、部下に過剰な要求をし、結果が出ないと罵倒し、疲弊して倒れるまで、あるいはうつ病になるまで、死にいたるまで追い込んでいく上司のことです。

残念ながら、日本企業には大変多いようです。貢献しない上司、部下をだめにしていく上司のもとでも、部下が反発して辞めていったり、会社に対してあまり声をあげたりしないため、減らす圧力がかからないからです。上司の査定にも大して響きません。よほどひどいケース以外、降格されず、横ばいでごまかされます。横ばいでほとぼりが冷めたら戻ったり、昇進したりもします。

困った部下が意を決して人事部に相談にいくと、その問題上司にへたなヒアリングをしてしまい、状況が悪化することが多いようです。私が過去に接した多くの悩める部下は、人事部への相談をかなり躊躇していました。その気持ちはよく理解できます。人事部の対応が雑だったり、「できる上司」の味方だったりが決して少なくないことですから。

あるいは、部下が頑張って、上司の上司に相談にいく場合もありますが、その上司が本当によくわかった人でなければ、同様の問題がおきてしまいます。そもそも、そういう相談自体、至難のわざで、メールをへたに出すと転送されてしまうかも知れず、また人知れず相談すること自体、非常にむずかしいです。

こういった背景から、ブラック上司が日本中の会社で蔓延しています。ノー残業デイがあるとか、サービス残業廃止とか、そういう運動をしても、ブラック上司の数が減ることはありません。むしろ増える可能性も十分にあります。

なぜ部下を叱り続けるのか?

なぜ大半の上司が部下を叱り続けるのでしょうか。

それは、会社からの圧力で、ともかく結果を出せと日々お尻を叩かれているからです。ほとんどの上司は、部下でもあり、自分自身、日々そういう扱いを受けていますので、「突然変異してまともになる」ことができにくい仕組みです。

まともな接し方をすると「お前は生ぬるい」「部下に甘いから、結果が出ないんだ」と叱責されてしまいます。別に甘くしているわけではないのに、「威嚇して部下を動かしているのでなければ仕事をしていない」とまで思われてしまうような環境です。自分自身もそのようにしか扱われなかった上司は、どんどんいびつになっていきます。

感覚がだんだん鈍くなっていき、どこかでたましいを会社に売り渡すことになります。

一方で、叱り続けても、部下をときどき飲みに連れて行っているし、「自分は太っ腹のよい上司だ」と思いこんでいる上司は多いかも知れません。上司と飲みにいくこと自体をストレスと感じる部下が多く、「それって残業つきますか?」という質問が冗談ではなく出ている時代に、結構な時代錯誤だと思います。

部下のことを考えているのに

多くの企業の経営支援をする中で出会う上司のほとんどは、人としてそこまで悪くはありません。皆、どうやって業務をこなそうか、どうやって言うことを聞かない部下、スキルの低い部下を何とか動かして成果を出そうか、悩んでいます。

講演会、セミナーでお会いする皆さんも、多かれ少なかれ部下のことを考えています。部下を何とか育てたいとその場では明言されます。ところが、いざ日常業務の場になると、どうも変わってしまうようです。普段の人間的な感覚、「上司は成果を出すだけではなく、部下を育てなければいけない」という頭で理解している部分がなぜか飛んでしまうようですね。

自分自身が上司からお尻を叩かれた瞬間に、部下への思いがいったん消え、「いいからやれ」モードになってしまうのでしょう。

自分だってこうやって育った

上司の言い分は多分こういうことかなと考えています。「自分だってこうやって育った」「うつ病になる人はもともと弱かった。他の人はなってないんだから、そこまで問題ではないはず」「結果を出さなければいけないんだから、部下にそこまで気をつかえない」こういう感じですよね。

ただ、この言い分はもう時効ではないのでしょうか。

自分が育ったのは15~25年前、今の20代の人の気分、価値観とは大きく変わっています。5歳違っても価値観がよくわからないことがあるわけで、10年以上違ったら別人種です。外国人といってもいい感覚の違いです。言葉が通じるので価値観もそこまで違わないだろうと思ってしまうのが落とし穴になります。

うつ病にいたっては、30人に1人が過去12ヶ月に、またおよそ10~15人に1人がこれまでの生涯にうつ病を経験したと厚生労働省のウェブサイトに記載されています。発症率そのものも、増加傾向にあるようです。

結果を出すために部下を罵倒し、威嚇し、体力の限界まで追いやり、生き残った部下が認められる、という価値観は、高度成長期ならいざしらず、数十年も右肩下がりが続いた今、そのまま当てはめるには無理があります。

じゃあ、どうすればいいのか?

日本企業の上司は、猛反省すべき時期に来たのではないでしょうか。トヨタなど一部の例外を除き、会社の業績は壁にぶつかり、国際競争力も失う一方です。時価総額的には、欧米アジアの優良企業に次々に買収されてもおかしくない状況です。シャープが台湾企業に買収されたようにです。シャープの経営陣だけがどじだったわけではありません。東芝の状況も目を覆うばかりです。NEC、富士通など昔の名門も、国際競争力を完全に失ってしまいました。

社長は号令をかけるだけではなく、会社の舵取りをどう変えるのか、経営戦略そのものを自らの手で描き直さなければなりません。経営企画室長に丸投げしている場合ではありません。経営戦略だけではなく、従来の仕事のやり方を社長以下、すべての上司が根本から見直さないと、先行きが全く見えません。

社長は、自分の部下がその部下に的確な指示をし、効果的に行動するように見本を見せ、しかもそれが組織の次の層、その次の層、さらにその次の層に浸透するまで関わるのが本来業務です。

え? 自分の上には実力会長がいるって? はい、その方が責任を持って生き残り策を立案し、社長とそれ以下の層への見本を見せなければなりません。社長に対して口先だけで指示をしても何も変わらないからです。

会社のトップの誰かが率先垂範をして経営戦略を書き換え、実行体制を変え、ブラック上司も撲滅して組織全体の生産性を抜本的に上げるべき時期です。敵は外にいるのに、中で体を痛めつけあっている場合ではありません。

 
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