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社長から見た組織の七不思議

社長から見た組織の七不思議

社長から見ると、組織がなぜ動かないのか不思議に思われることが多いのではないでしょうか。自分がこんなに頑張っているし、ちゃんとやっているはずなのに、どうして動かないのだろうかと。

社長歴10~15年以上の方はともかく、数年前に社長になられたばかりの方でも、社長になる前の記憶が急激に薄れ、部下との意識の差、現場との距離が拡大していきます。

経営改革、意識・行動改革がスムーズに進まない理由がここにあります。部下との意識の差がどういう理由で生まれるのか、「社長から見た組織の七不思議」をまとめました。

なぜ、社長がいくら指示しても部下が動かないのか

「いくら指示しても部下が思うように動かない」と大半の社長が不満に思っていらっしゃるのではないでしょうか。口にはされなくても、部下に不満を持っている社長は少なくないと思います。

社長が指示しても部下が動かない理由はいくつもあります。

まず、社長の指示があいまいなため、部下は具体的に何をすべきかがよくわからないということです。社長の指示の出し方に対して、助言する人はあまりいません。したがって、社長自身がどんなに気をつけていてもだんだんずれて、あいまいな指示になりがちです。かといってへたに質問すると「お前は何もわかっていない!」と言われかねないので、役員でもうかつに聞くことができません。

逆に細かすぎる指示をしてしまう社長もいます。現場から離れてずいぶんたつのに、自分が誰よりも詳しいと自負しているため、詳細な、しかも実態からかけ離れた指示を出してしまいます。下の人間は、状況がすっかり変わってしまっているのをよく知っているので、聞き流すしかありません。もちろん、社長への信頼はかなり傷つきます。

また、社長の指示がよく変わるので、部下としては本気で聞く気にはならないということも起きます。最初のうちは指示通り動きますが、社長の気が変わってはしごをはずされることが繰り返され、学習します。

あるいは、要求が過大すぎて、前向きな部下であってもすぐには動けないということもあります。今までアナログなやり方しかしていないのに、突然、「デジタルテクノロジーが我が社を救う、すぐに最優先で取り組むべきだ」と、実態やステップを無視した性急な指示を出す、といったことは、結構多いのではないでしょうか。

なぜ、自分の苦労をだれもわかってくれないのか

「役員も社員もなぜ社長の苦労を全然わかろうとしないのか」というのも、社長の不満として大きいかと思います。皆、面と向かっては何も言わないくせに、陰での文句が回り回って聞こえてきます。自分は、社長として将来のことを考え、今年の売上・利益の達成を考え、資金繰りに腐心し、組織間のバランスを取りながら、人事もあれこれ工夫して必死で会社を引っ張っているのに、皆、一面的な見方しかせず、ケチばかりつけます。

自分が役員のときには、当時の社長の苦労を誰よりもわかっているつもりだったかも知れません。ですので、役員や社員が今の自分の苦労をわかろうとしないことが理解できませんし、納得もできません。

皆、社長は苦労するのが当然だと思っているのか、社長にも心が折れそうになることがあるとは想像もしていないようです。

なぜ、役員が経営者としての視点を持ってくれないのか

「なぜ、役員にもなって経営者としての視点を持ってくれないのか」、社長はそれも気になります。経営上の情報はすべて開示して見せているのに、また常日頃、「役員は経営者の一員だ」と口を酸っぱくして言っているのに、ほとんどの役員は、部長のような視点で物を見ます。なぜそうなってしまうのか、なぜ目線が低いのか、どうしても理解できない、という方もいらっしゃるでしょう。

課長の頃から目をかけ、部長として期待し、事業部長としての活躍を作り、役員にまで引き上げたのに、目の前のビジネスにしか関心を持たず、経営者としての視点を持ってくれない、ということがよく起きます。しかも、いくら言っても近視眼的なので、自分が休むヒマもありません。

なぜ皆、部下を育てないのか

社長には、「なぜ皆、部下を育てないのか」ということも理解しづらいのではないでしょうか。人材育成の重要さを事あるごとに強調し、人材育成に熱心な役員を人事担当にもしています。部下育成を人事評価の項目にも取り入れています。

それなのに、なぜ皆、仕事の結果を出すことばかりで、部下育成に取り組もうとはしないのでしょう。「人を育てない組織だ」という不満も社内で直接聞くことがありますし、ネット上の書き込みにもよく見られます。

自分は一生懸命ここまでやってきたし、新入社員のころ、あこがれていた上司、先輩もいたでしょう。圧倒的な力を持つそういった上司、先輩に近づきたいと努力もし、機会あるごとに貴重な助言ももらっていたことでしょう。

そういうことがなぜ今あまり起きていないのかが、社長にとっては不思議ではないでしょうか。社員こそ会社の宝、その当たり前過ぎることが理解されず、実行されず、この会社の実行力、人材育成力が急激に落ちているのではないかと心配にもなります。

なぜ皆、自分の勝手ばかり言うのか

社長にとっては、「なぜ皆、自分の勝手ばかり言うのか」どうしても理解できないということもあると思います。会社の経営がこれほど苦しいのに、海外からも競合が本気で攻めてこようとしているのに、どうして残業が多いとか言うのでしょうか。残業は確かに大変かも知れませんが、自分が若かったときは終電前に帰ったことがなかった、という思いの社長は多いでしょう。

それでも、毎朝、始業30分前には到着して、日経新聞を読み、机の上を片付けて新しい気持ちで始めたりしていたものです。

それに引きかえ、今は皆、自分の都合、自分の勝手であれこれ文句を言い続けます。労組も会社あっての労組なのに、労働者の権利を要求するばかりで、事業の厳しさについては経営者の仕事ということか、関心を持ってくれないようです。

なぜ、いくら言ってもパワハラがなくならないのか

社長にとって何が理解できないと言って、いくら言ってもパワハラがなくならないことではないでしょうか。パワハラの結果、うつ病で長期休職する社員が続出します。管理職研修でも何度も取り上げていますし、毎年の年頭演説でも、社長の方針として二度とブラックなことをしないよう、訴えてきています。

上司が部下を育てるのは当たり前のことですが、パワハラはやめさせるべきだと多くの社長は考えることでしょう。ところが、叱咤激励とパワハラの違いがなぜか全然理解されません。

なぜ、社長の仕事はむずかしいのか

社長から見た「組織の七不思議」、いかがだったでしょうか。どれも、社長として理解しづらい課題として浮かび上がっていることでしょう。もしどれかに思い当たる節があったら、ぜひ現場に近い立場からみてみてください。現場に近づけば近づくほど、違って見えることもあります。

部下が動かないのは、動かない理由があるからです。経営者としての視点を持ってくれないのは、そのように育てていないからです。むしろ持たないように扱っていることが多いと思います。皆が部下を育てなかったり、パワハラをやめなかったりする理由は、社長が本当の意味でそれを要求していないし、実際、見本も見せていないからです。パワハラがひどくても結果を出している役員、部長に改善を要求しないからです。

社長には正直に話をしてくれる人も、遠慮なく忠告してくれる人もまずいません。就任当初はいたとしても、急速にいなくなります。したがって、よほど気をつけても、落とし穴が多く、役員・管理職・社員との距離が開いてしまいます。

社長の仕事がむずかしいのは、こういった理由が大きいでしょう。高い目線から将来を見通しつつ、現場感覚を意識して維持する、率先垂範して見本を見せる、皆が行動するまでフォローする、しかも誰にも理解されなくても心が折れないように続ける、という仕事です。

 
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