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【日経ビジネス】大企業経営者の悩みが新人課長の悩みと同じになっている理由 ー 経営改革は進んでいない?赤羽雄二氏に聞く

【日経ビジネス】大企業経営者の悩みが新人課長の悩みと同じになっている理由 ー 経営改革は進んでいない?赤羽雄二氏に聞く

※こちらの記事は過去にWebメディア「日経ビジネス」に掲載されたインタビュー記事を転載したものです。

2年半前に「日本の大企業が再び輝きを取り戻すには」というテーマで取材したことがあります。当時、家電メーカーを中心に大企業の業績が低迷していたからです。時が過ぎ、いま株価が2万円を越える勢い。市場環境はかなり変わってきたようにみえるが、果たしてホンモノでしょうか。大企業は復活したのか。当時取材した赤羽雄二・ブレークスルーパートナーズ代表取締役に再び聞いてみました。取材内容は2つ。1つはこの2年間で日本の大企業の改革が進み、実際に復活したといえるのか? もう1つが、いま日本の大企業経営者たちが抱えている課題について…。(聞き手は瀬川明秀)

ーーーいま株価が2万円を越えるような勢いです。以前取材した状況と違い、外的な環境はかなり変わってきたように思います。そこで今日お伺いしたいテーマは2つです。1つはこの2年間で日本の大企業の経営改革が進み、「復活した」といえるのか?。もう1つが、いま日本の大企業経営者たちが抱える課題についてです。実際に複数の大企業再建のお手伝いをしている立場からの意見を聞ければと思っています。

赤羽:そうですね。利益水準がやや回復し、株価が2万円を突破しそうなところまで来たのは、企業の皆さんが大変な努力をされた結果だと思います。

ではありますが、その間米国企業はそれをはるかに上回るスピードで事業を発展させ、上位企業の時価総額が非常に高い水準にあります。

2015年4月17日現在、アップルの時価総額は87兆円、グーグル45兆円、マイクロソフト40兆円、GE30兆円で、世界の時価総額上位20位までに米国企業が13社入っており、それだけで合計512兆円にのぼります。

日本企業は、20位にトヨタ自動車が時価総額28.4兆円で入っているだけで、後は数兆円台です。

株高は株高ですが、実態としては、日本の上位の大企業ですらアップル、グーグル、マイクロソフト、GEなどに同時に何社も簡単に飲み込まれても不思議のない状況にあります。ということで、私の危機感は以前よりむしろ高まっています。

非常にまずい状況

ーーー時価総額の格差だけですか。

赤羽:時価総額の差が開いてきた以上に、日米製造(IT関連)大企業の競争力変化を見ると、非常にまずい状況にあると言わざるを得ません。

この図は、戦後、日本の製造大企業と米国の製造大企業の相対的な産業競争力がどのように変化していったかを概念的に示したものです。

米国では製造大企業以外に、マイクロソフト、グーグル、Facebookなど、IT関連の大企業も含みます。日本では残念ながら、そういったIT関連の大企業がほとんどありません。それで、「日米製造(IT関連)大企業の競争力変化」というタイトルにしました。

横軸は、1950~2020年の時間軸です。 縦軸には、「相対的にみた産業競争力」をとりました。企業の勢い(売上高、利益、時価総額の伸び、絶対値、業界での競争力、世界的なブランド認知度など)を表しています。

日本企業の競争力が戦後直後から高度成長期にかけて急激に高まり、1980~90年代にピークに達し、韓国、台湾、中国、インド企業の台頭とともに自動車、建設機械等をのぞいて競争力を落としていった状況を描いています。

1980年代半ばから1990年初めにかけて、米国の製造業は、繊維、鉄鋼、機械、自動車、家電、半導体などの分野において日本企業に追い詰められていきました。米ゼネラル・モーターズ(GM)、フォード・モーター、クライスラー(現FCA US)などの自動車産業、RCAなどの家電産業の競争力は、日本企業の競争力向上と対照的に落ちました。

米国の巻き返し

赤羽:その期間、米国は大変な危機意識を持ち、「産学官」をあげて米国企業の競争優位について分析し、国家レベルでイノベーションを生みだし続けるための環境づくりに注力しました。

  • 台湾、中国、インド、ベトナム、ロシアなどからの最優秀人材の流入促進
  • 大学、大学院でのコンピュータサイエンス学科の強化
  • 小学校から科学・技術に親しむためのプログラムの実施
  • 通信、金融などを含む徹底した規制緩和
  • シリコンバレーを中心としたベンチャーが続々生まれ、急成長して好循環を生む仕組み
  • ベンチャーキャピタルが次々に投資し成功を加速する仕組み。そこへの資金投入の仕組み

などです。

その結果、米インテル、マイクロソフト、シスコ、オラクル、アマゾン、米フェイスブックなど、多数の世界的企業を輩出し、急激に立て直すことに成功したと思います。好循環を生むエコシステムができあがりました。

しかも、情報化、システム化、プラットフォーム化、ビッグデータ活用等により、2000年以降、日米製造大企業(IT企業を含む)の競争力の差は決定的に広がり、さらに急拡大しつつあると考えています。

今現在、我々の携帯電話はほぼ全部iPhoneかAndroid携帯、ネットワークはシスコ、データベースはオラクル、買い物のかなりの部分がAmazon、情報検索はグーグル、友達とのコミュニケーションはフェイスブックかTwitter、というふうに、我々の生活はほぼ米国企業に依存しています。日本からはLINEなどごく一部の企業が気を吐いているに過ぎません。

図の右側には、今後のイノベーションにより急拡大する新たな事業領域を10個上げていますが、「IT」×「データ」×「プラットフォーム」×「ネットワーク化されたハードウエア」の4つの項目を満たす分野で新たな産業が次々に生まれています。数百兆円に及ぶ産業創造が起きると言われています。

日本企業の競争力は

ーーー日本企業の競争力はどうですか。

赤羽:「IT」に関しては、日本にはソフトウエアエンジニアの絶対数が少ない上、米国のように、世界中の優秀なエンジニアを吸収し、活躍させる環境がありません。連れてこようとしても、言葉の壁は想像以上に大きいものがあります。しかも、日本の大企業は社内にソフトウエアエンジニアをほとんど抱えませんので、下請け、孫請け、ひ孫請けなどの形でソフトウエア開発が外出しされています。アジャイル開発、「リーンスタートアップ」などをやろうと思ってもほぼできない状況です。

「データ」に関しても、同様に厳しい状況です。米国企業は早くからデータを経営に活かすことが非常に得意です。データを取り、分析をして、顧客満足度を上げること、顧客ごとのニーズに合わせること、経営効率を上げることなどに長けています。そういう基盤の上でビッグデータが活用されるようになり、決定的な差を生むようになってきました。米国にはビッグデータ系のベンチャーが多数あり、総額2400億円以上の投資がされていますが、日本にはごくわずかしかありません。ビッグデータの活用に関しては、差を埋めることはまず不可能と言っていいほど深刻です。

「プラットフォーム」というのは、膨大な数の顧客・ユーザーを囲い込んでいるため、サービスを提供したいデベロッパー、サービスプロバイダーが登録し、顧客・ユーザーへのアクセス権に対して売り上げの数十%を払って利用する場のことです。iPhone向けのAppStore、Android携帯向けのGoogle Play、フェイスブック、Twitterなど世界的なプラットフォームが次々に生まれ、時価総額数十兆円となりましたが、日本企業にはほぼありません。ここでは先ほどのLINEのみが若干の存在感を示しつつあります。

「ネットワーク化されたハードウエア」は、本来、日本企業が相対的に強くあって欲しい分野です。ハードウエアに関しては世界最高水準だからです。ところが、「ネットワーク化された」というのは、時計、服、ドア、アタッシュケース、財布、監視カメラ、ガードレール、街路灯、工作機械、自動車、自動車のワイパー、郵便ポストなどあらゆるものがネットワーク化され、効率よく使われるという意味です。

2020年までに、500億個以上のモノがインターネットにつながると言われています。ハードウエアがいかに得意でも、「ネットワーク化」の部分でかなりのチャレンジがあります。

経営者たちは危機意識をもっている?

ーーーなるほど。こうした危機的な状況に直面している経営者たちが抱えている問題意識で何か目立つ特徴は何かありますか?

赤羽:正直な話、こういう危機感がどこまで共有されているか…。アベノミクスの評価にもどちらかというとポジティブな反応がある中で、「皆、結構頑張っている、日本企業もまんざらではない」とお考えの方が日本の経営者の間でも主流ではないかと恐れています。

危機意識がそこまで強くなければ、ことさらダイナミックな意思決定をし、反対を押し切って組織の舵取りを大胆に進めておられる方はそれほど多くないのではと理解しています。こういう言い方は何ですが、ご自身の任期の間は何とかなりそうだ、という安堵感もあるのではないでしょうか。

「このままではだめだ」ということは理解しておられても、世界的な企業が遂げてきたような大胆な方向転換を反対を押し切って実施するまでには至っていないように思えます。公式にもそういうニュースは伝わってきませんし、友人・知人ベースで知る限り、日本の大企業の中で経営者が積極的かつ効果的に動いているケースは、かなり限られるようです。

こうして、どんどん手遅れになっているにも関わらず、日本の経営者の大半が現状の改善程度で留まっているのではないか、というのが私の最大の危機意識です。

経営改革の不安

ーーーでも、何もしてないわけではありませんよね。

赤羽:経営者の方々は当然、経営方針を打ち出し、色々としかけておられます。売上成長、収益改善、ブランド強化、新事業創出、M&A、事業整理、組織・人事改革、風土改革などです。

ところが、経営方針に取り上げたり少し推進したくらいでは思ったほどの成果が上がらず、部下に命令しても意外に動かず「これでいいのか」「これで会社が変わるのか」と不安に感じておられる方も少なくありません。

経営者の問題意識としては、

  • 「どうやったら我が社を再び成長路線に乗せることができるのか」
  • 「どうやったら経営改革を加速することができるのか」
  • 「どうやったら役員がもっと自立的に動いてくれるのか」
  • 「どうやったら、自社にも優秀な部長が育ち、もう少し安心して事業を任せることができるのか」

というようなことではないかと理解しています。

多くの企業が横ばいあるいは右肩下がりになっています。売り上げは何とか伸びていても、利益率は下がっています。そういう中で「どうやったら再び成長路線に乗せることができるのか」は大変に重要な課題です。 問題意識の強い方が新たに社長になれば、「どうやったら経営改革を加速することができるのか」と考えられると思います。先代の社長、あるいは先々代の社長が始めた経営改革、構造改革が満足行くレベルまで実行できている会社は少数だからです。なぜ思ったほど動かないのか理解できない、ということもあるでしょう。

あるいは、社長として自分はしっかりやっているのに、「役員が自分の方ばかり見て頼りない」「本気で会社をよくしようと思ってくれていない」という歯がゆさも感じておられるかも知れません。

「自分がいつまでリードしなければいけないのか」とため息をついておられる方もいらっしゃるかも知れません。「いい加減、育ってくれよ」という気持ちです。その方が育てていないので育っていないだけなのですが。

役員ではなく、「下の層には活きのいい部長がいるのではないか、彼らをもっと抜擢したい」と考えておられるかも知れません。

「色々やってきたのになぜ、皆動いてくれないんだ」

ーーーリーダーとしての悩みは尽きません。

赤羽:「色々やってきたのになぜ皆動いてくれないんだ」ということだと思います。この悩みは、経営者だけではなく、役員、部長など、部下を持つ人は皆同じではないでしょうか。

経営者、役員、部長など、上に立つ人の多くが「部下に指示をしたら動く」「部下は上司の指示を何としても実現すべきだ」とお考えなのかも知れません。意識して、あるいは無意識にも、そういう感覚のようです。「サラリーマンとして仕事している以上、全力でやれ」ということで一見もっともなことですね。

ところが、実際は、部下は、指示をしてもなかなか動きません。軍隊的組織で命令にしたがわなければ大変なことになるところは別ですが、普通、部下は納得しないと余り素早くは動きません。スピーディーな組織を作り上げることは、言われるほど注力されていないのではないでしょうか。組織の価値観、風土にしたがって、部下は動くか動かないかを決めます。

上司の期待と部下の気持ちののギャップを解決しなければ、部下がフットワークよくダイナミックに動くようになることは余りないと思います。

上司の成功体験が邪魔

ーーー正直「今更」という気もするのです。昔からある課題ではあると思うのですが、何故いまなのでしょう。

赤羽:高度成長期には日本企業の競争力が圧倒的で、急成長できました。90年代後半、2000年代に入り、IT・インターネット化、水平分業、グローバル化が進むにつれ、日本企業の競争力は相対的に落ちていきました。

落ちるとともに、従来の成功体験に基づいて行動しても、結果が出なくなっていきます。新しい価値観と行動規範で行動しなければ、じり貧になっていきます。過去20年、そういう時代が続きました。

今、各社の経営者が55~65歳だとすると、20年前には35~45歳です。ということは新卒入社から10~20年間、かなりいい思いをされ、「会社は成長するものだ」「会社のために滅私奉公すれば報いられるものだ」と信じ、出世してこられた方が、今、各社の経営者になっています。

高度成長期の課題は、先進国の製品を徹底的に研究し、どうやってもっと品質がよい、安価で使いやすい商品をより多く提供するか、ということでした。しかもその時代の成功体験があまりにも大きいものでした。

したがって、この10年直面しているような

  • 「ハードウエアをソフトウエアやサービスにどう切り替えていくか」
  • 「コア事業に集中するため、周辺事業をどう売却、撤退するか」
  • 「海外の人材を各国で重用し、その市場向けの製品開発、マーケティング、営業をどう実施するか」
  • 「ベンチャーを買収して、自社にない技術を取り入れ、人も活かして事業を大きくしていくか」

といった課題は余りなかったのではないかと思います。

数十年のサラリーマン人生で経験していない課題、かなり性質の違う課題に社長になって直面している、という厳しい現実があるのではないかと想像しています。

ーーーしかしトップになる前に、執行する役員として仕事をしてきたのでは?

赤羽:もちろん、社長になられた方は5~10年間、役員として活躍してこられました。ですので、この変化は十分見てこられたはずです。痛い思いもされてきたと思います。

ただ、「役員として社長の指示の下で動く厳しさ」と「自分の会社人生と評判をかけ、リスクを取って決定しなければならない社長の厳しさ、難しさ」との間には、深く大きな溝があるため、心の準備はなかなかできません。

何しろ、社長の意に染まない行動をしてしまうと役員として再選されないリスクがある中で、どこまで思い切った行動を取れるか、ということです。サラリーマンなら痛いほどわかります。

また、日本の企業では、「社長の候補が10~15年以上前から密かにマークされ、成長するように次々にチャレンジングな仕事を与えられ、クリアできた人材のみがさらに次の難題に取り組む」といった、本来あるべき社長候補育成プログラムは、余り実行されていません。

したがって、会長あるいは社長の覚えめでたい少数の候補の中から次の社長が選ばれることになります。「社長候補、次候補、次々候補としてかなり長期間に渡り準備し、各所で実績を上げた上で着任する」という形にはなっていないわけです。(もちろん例外はあります。また10~20人飛びで比較的若手な社長が誕生することも希にあります。これはこれで、かなり恣意的です。実績というよりは、「何かすごいことをやってくれそう」ということで先輩役員を一気に飛び越えて任命されるからです)

こういったことから、日本企業の経営者は、「高度成長期の大成功の強い余韻を振り捨てつつ、動きにくい組織の中で反対を押し切ってダイナミックな意思決定をし、部下を何とか説得してやり抜く」という大変大きなチャレンジをされていると思われます。

社長が素早く決定しない

ーーー意思決定すること自体が難しくなっている。

赤羽:世界の一流企業に比べて、日本の社長は素早く決定しない、できないとよく言われます。私も同感です。ただ、なぜそうなのか、考えてみると次のような背景があるようです。

  • 素早い意思決定に慣れていない
  • 素早い意思決定は拙速なのでやるべきではない、と考えている
  • 大企業では、以前から何階層もの会議を経て決めてきているので、それを壊せない
  • 素早い意思決定をしたくても、会長や顧問、相談役にお伺いを立てないといけない
  • 取締役、事業本部長たちの意見を聞かざるを得ない。決めても言うことを聞かない

海外の経営者が聞いたらかなり驚くような内容ですが、一般にこういう傾向が見られるのは否定できません。

もちろん、日本企業でもトップダウンで、電光石火で動いている会社もあります。あくまで程度問題ですが、一般的な傾向として、日本企業においては、「社長が素早く決定しない」ことがよく見られます。決定されるまでの時間も相当長い時間をかけられるようです。「時間をかけて議論することがよいことだ」と考えておられる社長は少なからずいらっしゃるかと思います。

社長が決意し、会長、相談役などの支持も得て、会議体として正式な手続きを経たとしても、組織が動かない、ということがよく見られます。

役員や事業本部長が自分なりの判断で、それぞれ最適だと思うやり方で進めようとするからです。「最適」だと思うやり方には随分大きな幅があります。

  • 決定されたので、すぐに動く
  • 決定されたが蒸し返されることもあるので様子見をする
  • 決定されて動きたいが、資金・人の投入は議論不足なので、動くに動けない
  • 決定されたが、CFOが後から厳しく介入してくることが見えているので動きづらい
  • 決定されたが、社長はこの事業のことは余りわかっていないので、少し修正する
  • 決定されたが、部下が合意してくれそうにないので、一部だけ動かしてみる

結果として、正式に機関決定しても、「アクセルを踏んだら車が加速する、というわけには全くいかない」というのが多くの日本企業の状況ですね。

決定しても組織が動かない

赤羽:急成長し、何をやっても儲かっていた時代はこれでもいいですし、多分その時はもう少し風通しがよかったと思われますが、急成長どころか業種によっては右肩下がりだったり、国内市場でも世界中の競合と戦わざるを得ない今となっては、深刻な問題です。

「決定しても組織がなかなか動かない」という問題は、実は社長と役員、役員と事業部長、事業部長と部長、部長と課長など、組織の階層ごとに起きています。

こうなってしまう理由は、先が見えなくなっており、自分は本当は何をすべきか、何を変えて何を守るべきか、理解し納得していないから、腑に落ちていないからではないでしょうか。

決めたことを速攻で実行しない組織は、遅かれ早かれ淘汰されます。今の日本企業もその意味では、淘汰されつつあります。少なくとも、低位安定かゆっくりとした成長、米国企業、アジア企業は急成長、という状況です。

決めた通りに動かなくても余り罰せられない状況、すなわち、モラル・ハザードが横行している中で、一上司としては、自分の任務遂行上のニーズと部下の態度のギャップに困っている、という気がします。

「上司の、部下に対する悩み」を整理してみました。「会社全体を考えて動いてくれない」「指示通りに行動してくれない」「指示したことしかできない」などですね。

部下へのコミュニケーションのしかたにもかなり神経を使います。

【上司の部下に関する悩み】

もちろん、部下には部下の言い分があり、上司に対して多くの悩みを抱えています。

【部下の上司に関する悩み】

あいまいな指示しかしない上司、部下を水に投げ込み、自力で泳ぐことを期待する上司、部下に丸投げすればいいと考えている上司、部下は上司のために存在すると考える上司など、上司の役割を勘違いしているとしか思えない上司が少なからずいて、部下の人生を大きく左右しています。

ではどうすればいいのか

ーーーどうすればいいのでしょうか。

赤羽:私は、社長の役割がいまほど高まったことはないのではと思います。先が見えず、世界的企業とのギャップが加速度的に大きくなった今、経営改革の決断をし、反対を押し切って会社を生まれ変わらせることは社長あるいはそれに次ぐ経営幹部にしかできません。

役員に指示してやらせる、というレベルのことではありません。また、おっかなびっくりやることでもありません。日本にも、大胆な意思決定をし、経営改革を強力に推進している社長が少数ですが、いらっしゃいます。日本だからできない、文化的にできない、ということは決してありません。

ところが、残念な状況が見られます。「経営改革をどう進めるのか、どちらの方向に進めるのか」という以前に、「経営改革を本気で進めようとしない」という問題です。危機意識が希薄なためです。

企業の経営企画部長や執行役員とお話することが多々ありますが、社長が本気で取り組んでくれないという悩みがほとんどです。口では言うものの、反対する役員を説得し、痛みの伴う改革をリードするかというと、及び腰になるようです。

社長が本気で取り組んでくれない時はどうするか。次期社長候補と目される方が立ち上がるしかありません。そういう方がいらっしゃる会社は幸運です。その方が先頭に立ち、リーダーシップを発揮して、経営改革を進めることができます。社長は後ろで見ていてくれ、ということになります。

会社を何とかしたいと思う経営企画部長や執行役員のやるべきことは、

  • 経営改革に本格的に取り組む立派な社長であれば、全力で支援する
  • 経営改革に関心があるがどうやったらいいかわからない社長であれば、具体策を提言する
  • 経営改革へのそぶりだけの社長であれば、もっと根性のある経営幹部を後押しする

ということになります。

身近な対処だが、短期間で生産性は上がる

ーーーかなり“身近な”指針ですね。

赤羽:そうです。トップから新人課長まで同じです。こういう議論自体が、世界的企業と比べるとかなりさみしいかなとも思います。甘いです。ただ、それが今の日本の実態に近いので、仕方ありません。

社長あるいはそれに次ぐ経営幹部が経営改革を強力に推し進める場合、トップダウンで活動を下におろしていくことになります。オペレーションのちょっとした改善活動ではないので、ボトムアップでは動きません。

重要な点は、上司が上司としての本来の仕事を果たし、部下を指導・育成して会社を変えていくことです。業務のすべてに渡って、革新していくことです。社長が役員に、役員が事業本部長に、事業本部長が事業部長に、事業部長が部長に、部長が課長に、という流れです。

上司が明確かつ高い目標を設定し、業務内容を詳細に指示し、部下の力を120%引き出して大きな成果を上げる、そういう組織をトップダウンで上から作っていきます。

実は、私が2月に出した『世界基準の上司』には、こういう思いを込めて上司の考え方、部下への指示・コミュニケーションの仕方、部下の育成の仕方、部下のやる気の引き出し方を詳細に述べました。

どの階層であれ、上司として悩んでいる方が多いのですが、実はいくつかの基本を守れば、今よりはるかにストレスなく部下に指示をし、成果を出させることができます。上司はこうあるべき、という誤解、思い込みが多く見られますが、まずそれを解消することで生産性の高いチームが比較的短期間にできあがります。

ここは日本企業の改善の大きなチャンスだと考えています。実行力、経営改革力に富む優れた上司を上から作っていく、ということです。

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