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【第6回】「できる部下」を最速で育てる!8つの効果的なコーチング

【第6回】「できる部下」を最速で育てる!8つの効果的なコーチング

こちらの連載では、ホワイトカラーの残業ゼロに本気で取り組むための具体的提案をご紹介している新著『最少の時間で最大の成果を上げる最速のリーダー』の中から、残業削減や生産性の向上のための具体的なポイントを、全6回にわたってご紹介します。
第6回は、部下を育てるための効果的なコーチングについて。

※ここで私が示す「効果的なコーチング」とは、広い意味で部下を育てることをいい、上司がたたき台をつくって見本を示したりすることも含みます。私の経験上、そのほうが効果的な場合も多いからです。

コーチング1:先にゴールを示すアウトプット イメージ作成アプローチ
→何をどうすべきか具体的に指示すること

「アウトプットイメージ作成アプローチ」とは、上司が30分ほどで作成すべき書類などの最終形が何ページで、どういう内容を各ページに盛り込むべきかのたたき台をつくります。それを部下に説明するという的確なコーチング方法です。

上司がたたき台をつくって示すので、スキルの低い部下が上司の期待をおもんばかってあれこれ悩んだり、余計なページを多数書いたりするムダがいっさいなくなります。これが残業ゼロ実現の鍵になるのです。 アウトプットイメージ作成アプローチをうまくやると書類作成の時間が3分の1から4分の1くらいに短縮される場合も出てきます。アウトプットイメージ作成アプローチを徹底すると、実は上司が一番成長します。

残業ゼロ実現のため、自部署で作成するすべての文書をアウトプットイメージ作成アプローチで実行することをお勧めしたいと思います。 すべてを上司が一人でやるのはあまりに仕事量が多いのであれば、簡単なものは経験の長い部下にやってもらうと彼らも成長します。

コーチング2:業績・成長目標合意書
→部下の長所を十分認め、成長課題を遠慮なく伝える

業績・成長目標合意書とは、A4の1ページに長所、成長課題、今期の業績・成長目標、本人と上司(あるいはDL:育成リーダー)の取り組み施策を簡潔にまとめたもので、 上司が作成し、部下と面談して内容の確認をし、合意をします。

ポイントは、長所を7、8点書くことです。本人は自分の長所を認識でき、また上司がそこまで見ていてくれたのかということがわかり、嬉しくなります。その上で、成長課題については、「業務スピードが遅く、通常の1・5〜2倍かかる」「相手に遠慮しすぎて、難しい話をうまく伝えられないことがときどきある」など、遠慮なく5、6点書きます。こういった率直なフィードバックをされた人、しかも書面で丁寧に説明されたことのある人はかなり希です。

業績・成長目標合意書で初めて成長課題を的確に指摘され、しかもここまで改善しようという成長目標が示され、自分だけではなく上司あるいは育成リーダーまで一緒に取り組んでくれるんだ、と認識することで、前向きに取り組みやすくなっていきます。

コーチング3:アクティブリスニング
→部下が自信を持ち、問題解決も進む

上司が部下に接する際、一番効果的なのはアクティブリスニングです。アクティブリスニングとは、ただ聞くだけではなく、質問をしながらどんどん掘り下げて状況をより正確に理解していくやり方です。アクティブリスニングを丁寧に実施すると、部下の気持ちや置かれた環境をよく把握できます。多くの場合、何が問題か把握できるだけではなく、「こうすれば、解決できそうだ」というところまで見えてきます。

残業ゼロは極めてチャレンジングな目標なので、それを実現するには、やみくもに部下に命令するのではなく、アクティブリスニングをして、十分に現状を把握することが効果的であり、必要です。

感動と感謝を伝えながら、強い関心を持っていることを声と表情、身振りで伝えま す。さらに質問を続けて、全体像をつかめるまで深掘りしていきましょう。その際、注意すべきは次の7つです。

①相手の言葉を途中でさえぎらず、最後まで聞くこと
②部下の仕事への思い、悩み、希望などを聞くこと
③相手に関心を持ち、好奇心を持って話を聞くこと
④疑問点は遠慮なく聞くが、事情聴取されているような感じを与えないこと
⑤決して相手に不安を与えないよう、にこやかにしていること
⑥無理に聞きだそうとはせず、相手のペースに合わせること
⑦「もっと論理的に説明しろ」「わかりやすく言え」などは禁句

目標レベルが高ければ高いほど、上司のアクティブリスニングが特に重要です。

コーチング4:ポジティブフィードバック
→部下・チームがやる気を出し、急成長する

アクティブリスニングに並ぶ上司の基本スキルがポジティブフィードバックです。ただ褒める、ということではなく、どのようなやり取りもポジティブな表現でするということがポイントです。

①部下が残業削減で大きな成果を上げたとき。他の部下の前で大きく褒めます。
②部下が若干の成果を上げたとき。どんな小さな成果でも褒め、感謝します。
③部下が残業削減をしようと真剣に努力してもうまくできなかったとき。努力をねぎらい、次回以降への激励をします。
④部下が残業削減をバカにして、手を抜いたとき。問題点を遠慮なく指摘するものの、ポジティブに激励します。ただ、なぜ部下が反発しているのかを理解し、やる気を出させることが先決です。多くの場合、ちょっとしたボタンの掛け違いがあって会社や上司に不信をいだいていたりする場合があるからです。

また、遠慮なく褒めるのはいいですが、えこひいきは厳禁です。えこひいきとは、同じくらい素晴らしい結果が出ているのに、自分のお気に入りの部下のときは大きく褒め、それ以外の部下のときは無視したり、軽く褒めるだけにしたりすることです。論外なことですが、実際は、えこひいきする上司が後を絶たないようです。

上司の仕事はけなすことではなく、部下のやる気を高め、残業ゼロという目標に向かってチャレンジさせ続けることです。

コーチング5:ベストプラクティス共有
→時短ノウハウをすばやく広げ、競争を促進する

実際に「残業ゼロ実現」実施すると、数人の部下は一気に残業を半減させたり、ゼロにしたりできるはずです。それでいて、アウトプットが減るわけではなく、むしろ生き生きとしてどんどん成果を出してくれるでしょう。こういう人が必ず出てきます。先輩に気兼ねしていたり、残業代を意識して本来の能力を発揮せずに残業していたりした人たちです。 減った残業代が100%補填され、しかも残業せずに帰ることが善となった今、彼らは本領を発揮します。

そういう彼らがどうやって残業を減らしたのか、週1回、30分でいいので、部署で「残業削減ベストプラクティス共有会」を開催し、発表してもらいます。最初はシニカルにしていた古参メンバーや、何につけても否定的な社員も、実際に事例 が次々に発表されると無視し続けることができなくなります。

上司は自部署の「残業削減ベストプラクティス共有会」を明るく盛り上げ、仲間意識を 醸成していくことがポイントです。

コーチング6:問題把握・解決力の強化
→部下の総合戦闘力を上げる

残業ゼロ宣言の翌月に残業を半減し、2ヶ月後にさらに半減し、3ヶ月後には残業ゼロを実現するには、自部署のメンバーの一人ひとりの問題把握・解決力の強化が不可欠です。

・自分の仕事のどこにムダがあるのか
・どこに着目して仕事のスピードを上げるのか
・どの仕事は後回しにしてもいいのか、どの仕事はダメなのか
・どういう事前準備をしておくと、ずっと早くできるのか
・誰の協力を得ると、ずっと早くできるのか
・どうすれば即断即決、即実行できるのか
・どうすれば迷ったり考えすぎたりしなくなるのか
・仕事の全体像をどうやったらもっとうまくつかめるのか
・プロジェクトマネジメントを遅滞なく進めるにはどうすべきか

こういったことを一人ひとりが常に考え、瞬時に判断して最善手を打ち続けられるようになる必要があります。

そのために上司としては、「問題把握・解決力のどこに課題があるのか」「どこに苦手意識があるのか」「うまくできるのか」「何にいつも手間どるのか」をよく観察し、一人ひとりに合ったスタイルでコーチングします。

全部自分ひとりでやろうとすると負担感が大きすぎますので、いつも右腕、左腕になる メンバーを育て、彼らをコーチとして活用することが鍵となります。

コーチング7:情報収集力の強化
→部下の情報感度を上げる

残業ゼロ実現に向けて、部下の情報感度を大きく上げる必要があります。情報感度が上がると、上司がいちいち言わなくても、①部下が勝手に最新情報を把握して最善手を打ってくれる、②部下が勝手に賢くなってくれる、③部下があらゆる意味で勝手に成長してくれる、という多大なメリットがあります。

ただ、情報感度というのはややくせ者で、興味・関心を持たないと全く上がりません。
部下の情報収集力を強化するために、上司として取るべきステップは、次の8つです。

①部下が何に関心を持っているか普段からできるだけ聞いておく
②その関心事に関係がある業務があれば、なるべくやってもらう
③その関心事に関係があり、部署としても重視するトピックスはフォローさせる
④成功体験があると関心を持つので、何かの小さな成功体験を得るようにする
⑤講演会や展示会の内容を発表する立場になると急に関心を持ち始めるので、できるだけ参加してもらう
⑥情報収集のしかた、グーグルアラートの使い方などを共有し、広める
⑦情報収集に関するベストプラクティス共有会を月1回開催する
⑧情報感度が高いと素晴らしいということを上司のわざとして示す

考えられることをすべてやってみましょう。情報収集にはゲーム性があるので、情報収 集に関して一度何かの成功体験があると、部下同士で競って情報感度を上げてくれるようになります。

コーチング8:コーチング機会の提供
→部下にコーチングさせる

人が一番育つのは、成功体験をしたときと、誰か後輩を育てたときです。

人を育てる中で、客観視ができるようになり、自分の課題にも気づきます。そのため、上司としては、若手部下にできるだけキャリアの長い部下をつけ、コーチングする立場にしてあげると効果的です。

自分が最初どのように部下に接したのか、どんな感じでおっかなびっくりしていたのかを思い出し、接する心構えを話し、手ほどきをしてあげます。いつもそうやって部下に接していると、自分が育てるべき部下が勝手に育ってくれるの で、自分はより重要で難易度の高い仕事に取り組むことができ、好循環が始まります。

残業削減において、先輩が後輩に指導することが山のようにありますので、絶好の機会です。

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▼本書の内容を全6回にわたってご紹介します。
第1回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 前編 –
第2回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 後編 –
第3回「「残業ゼロ」は女性や外国人社員を雇うヒントにも
第4回「ダイナミックですばやく動けるチームとは? 残業ゼロ時代に活躍できる組織づくり
第5回「まずは部下より自分が変わる!残業ゼロで成果をあげるリーダーの仕事術

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