日本の人口減少による労働力の低下や、相次ぐ過労死の問題によって、近年ようやく日本でも、国をあげて働き方が見直されるようになりました。週休3日制やリモートワークを導入する企業や、「残業ゼロ」を本気で目指す企業もでてきているなか、今の時代の経営者、リーダー、一般社員は、それぞれどのような姿勢で、仕事の取り組み方を変えていけば良いのでしょうか。
7月に出版された最新著『最少の時間で最大の成果を上げる最速のリーダー』では、ホワイトカラーの残業ゼロを実現するための日本初の具体的提案をご紹介しています。残業ゼロを本気で実現したい経営者が何をすべきなのか、役員・部長・一般社員がどうすべきか、社員の本音まで踏み込んで詳しく解説しました。
電通の例を出すまでもなく、日本企業から無駄な残量をなくし、本当に価値ある仕事だけに取り組んでいく必要があります。そうしなければ、ますます加速するグローバルかつ激しい技術競争下で生き残っていくことはできません。残業ゼロは人件費削減ではなく、付加価値を上げ、競争力を上げるための鍵となります。そして職場のしがらみや日本人の価値観などから、残業ゼロは経営者のコミットメントが大前提です。時流に乗り遅れず、会社を変革できるかどうかは、経営者にかかっているのです。
こちらの連載では、本書の内容をもとに、残業削減や生産性の向上のための具体的なポイントを、全6回にわたってご紹介します。まずは、残業ゼロを実現するために必要な9つの実行ステップのうち、ステップ1からステップ4まで。
ステップ1:残業を3ヶ月でゼロにすると宣言する
「残業を減らせ!」というだけでは何も変わりません。「 3ヶ月で残業ゼロを実現する」 と経営者が宣言し、同時に詳細なステップをフォローする必要があります。
「3ヶ月で残業をゼロにする」には、宣言した翌月は全員の残業時間を半減、2ヶ月目はさらに半減させ、3ヶ月目に残業ゼロを実現するという段階的な方法をとります。例えば、過去3ヶ月平均40時間残業をしていた人は、翌月は20時間に、2ヶ月目は10時間に、最終段階の3ヶ月目は残業ゼロにするということです。
残業ゼロとは「毎日8時間以上仕事をしない(お昼休みを入れると9時間)」とする考えです。管理職なども同様に仕事時間を削減しなければなりません。 まずは管理職が率先して、残業せずに帰宅します。管理職が苦労して夜遅くまで残っているのに、平気で8時間で職場を出られる部下はそう多くないでしょう。管理職のビジネスパーソンは短時間集中で仕事を終え、できた時間を自分の成長に投資する必要があります。
ステップ2:マネージャー自ら、全体の会議・書類を半分以下に減らす
残業ゼロを実現するには、経営者が会議・書類を減らし、経営幹部、中間管理職の行動を変えることが出発点です。最大の改善機会は、新製品開発や投資などの意思決定をそれまでの何倍も速く行うことです。また、会議の数を減らし、数回の議論で進むかどうかを決めること、膨大な資料を要求せず、簡単な数ページと後は口頭の説明で判断することも大切です。
何十ページ、何百ページの資料があったとしても、その資料作成に社員のエネルギーを費やすだけで、対して精度があがるわけではありません。経営状況がかなりまずい企業に限って、経営者主導の会議が多く、書類も膨大に作らせています。このように無駄が非常に多いので、会議や書類作成をカットしていくと、実労働時間8時間で終わらせることは十分可能なはずです。
ステップとしては、経営者自ら、全社レベルの会議・書類を一つひとつ吟味して、半分以下に減らします。そのときに確認すべき質問事項は次のつです。
・この会議は本当に必要なのか?
・この会議の開催時間を半分に短縮するにはどうしたらよいか?
・この会議の出席者を最低限に絞るにはどうしたらよいか?
・この会議の開催頻度をもっと減らすにはどうしたらよいか?
・この会議の説明資料を半分以下のページ数にするにはどうすべきか?
・この会議の説明資料のどの部分は必要で、どの部分は不要か?
一つの会議・書類について3分で説明させ、2分で判断すれば数時間もかからずに終わるはずです。
ステップ3:事業部長・部門長が会議、書類、部下のすべての仕事を見直す
経営者が全社レベルの会議・書類を半分以下に減らしたのを受け、事業部長・部門長は事業部内、部門内のすべての会議・書類を同じく半分以下に減らします。 方法は前述した通りに進めます。
会議・書類の削減だけでは、まだ不足です。事業部長・部門長は、部下のすべての仕事を見直す必要があります。 確認ポイントとしては、次の通りです。
・新製品・新サービスの企画に必要以上の時間をかけていないか?
・顧客を軽視して自分たちのつくりたいものをつくっていないか?
・社内調整に過剰な時間をかけていないか?
・社内他部門との情報共有が不足した結果、ムダな時間を取られていないか?
・調査しすぎで、過剰な時間をかけていないか?
・書類一つつくるのに、過剰な時間をかけていないか?
・上司が部下にきちんと指示をしていないためムダを生じていないか?
・できない人が無理してやろうとして時間をムダにしていないか?
・確認すべき人に確認せず、一人で抱え込んで遅れていないか?
・過去の仕事をテンプレート化していないため、ゼロベースで進めていないか?
残業ゼロを実現するには、事業部長・部門長が残業ゼロの見本を見せ、部下にもきめ細かくコーチングして、実行させることが重要なのです。さらには事業部長・部門長がすばやい意思決定をし、部下を育て、活躍させて成果を出させることで、生産性と付加価値を上げる素晴らしい見本になります。
ステップ4:「残業ゼロ推進・生産性向上チーム」を置き、活動を強力に支援する
全社の残業ゼロ活動を支援するため、「残業ゼロ促進・生産性向上チーム」を置きます。 残業ゼロに対してあまり気の進まない各部署メンバーの話を聞き、実施上の問題点を把握 し、経営者、事業部長、部門長に働きかけ、必要な対策を打っていきます。 チームリーダーは部課長クラスで将来の幹部候補から選ぶと一石二鳥です。効果的に推進できますし、本人にとっても素晴らしい成長機会になります。
チームリーダーとして最適な人材を選ぶ基準は、次の6つです。
1. 信念を持って残業ゼロに取り組める
2. 残業ゼロに反対する人に対して、丁寧に説明し、納得させることができる
3. アクティブリスニングがよくでき、信頼される
4. ゼロベースで物事を考えることができる
5. 問題点をすばやく理解し、ダイナミックに解決できる力を持つ
6. 将来のリーダー候補として尊敬されている
特に1~3が重要です。年齢、性別は問いませんし、どちらかというと若い人のほうが熱心かもしれません。
「残業ゼロ促進・生産性向上チーム」は会社のサイズにもよりますが、中小企業だと1人、大企業であればリーダー以外に2、3人からスタートするとよいでしょう。メンバー の選定基準はリーダーに準じますが、メンバーはリーダーより数年若く、将来性のある心な人材を選びます。
「残業ゼロ促進・生産性向上チーム」は発足後、次の7つに取り組みます。
1. 経営者、事業部長、部門長が出席する週次の「会議・書類削減進捗確認ミーティング」で全社、全部門の進捗を報告する
2. 残業ゼロを促進するための実戦的なワークショップを企画し、実施する
3. 各部門の最新状況を把握し、残業削減率、生産性向上提案数などを公表する
4. 一番成果を出している部門のやり方をベストプラクティスとして広める
5. チーム内で、フォローの仕方に関してベストプラクティス共有会を行う
6. 残業ゼロ化に成功した他社へのヒアリングを行い、共有する
7. ウェブサイト、ブログで積極的に発表し、積極的にメディアの取材を受ける
残業ゼロ宣言前に活動を開始し、3ヶ月後に残業ゼロを実現させ、その後の生産性・付加価値向上を支援し続けます。
※続きのステップ5からステップ9までは「【第2回】経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ 後編」をごらんください。
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▼本書の内容を全6回にわたってご紹介します。
第1回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 前編 –」
第2回「経営者必見!3か月で残業ゼロを実現する9つのステップ – 後編 –」
第3回「「残業ゼロ」は女性や外国人社員を雇うヒントにも」
第4回「ダイナミックですばやく動けるチームとは? 残業ゼロ時代に活躍できる組織づくり」
第5回「まずは部下より自分が変わる!残業ゼロで成果をあげるリーダーの仕事術」
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