この連載は『速さは全てを解決する』の内容より、仕事のスピードアップのための心得や、生産性や仕事の質もあげるため、今すぐ使える具体的な仕事術をご紹介していくものです。第9回のテーマは、スピードと効率をあげる具体的なノウハウより「A4メモ書きの活用法:最速の資料作成」です。
「メモ書き」を活用して最善最速で仕上げる
書類・資料を作成する際、つくり始めるまであれこれ悩んだり、準備や情報収集に過剰に時間をかけたり、何度もつくり直してしまったり、やらなければと思っていても後回しにしたり、何かと時間をかけることが多いのではないでしょうか。速い人なら1時間弱でつくれる書類・資料でも、遅い人は3~4時間かかっても中途半端なものしかできません。
書類・資料作成に時間をかけ過ぎるのは大変もったいないので、誰でも大幅にスピードアップできるステップをご紹介します。
① 書こうと思うことを、メモ30~50ページくらいにともかく書き出す
きれいに書こうとするから遅くなってしまいます。あれこれと余計なことを考え、悩み、書類・資料作成が進みません。ほとんどの人はこういう罠にはまるものです。
それに対して、体裁をいっさい気にせず、思いついた内容をタイトルに、それに対して4~6行、各20~30字を1ページ1分でどんどん書いていきます。フォーマットや順序、体裁を気にしないとこんなに書けるのか、と思うほど気楽に筆が進むことに驚くかもしれません。
これはパワーポイントにする前のたたき台の、さらに前段階の下書きなので、体裁を気にしてもしかたないのです。そう思うと人の頭は不思議によく動くので、ぜひやってみてください。所要時間は1ページ1分として、30~50分です。
② 書いたメモを机に広げ、関係あるものを近づけて並べ替える
メモを30~50ページ書き出したら、それを大きめの机に並べていきます。最も一般的な パターンは、問題点、課題について書いたメモを左側のほうに並べ、解決方針を真ん 中に、それに対する具的施策に関しては右側に並べていきます(下記図参照)。
この段階で目次はまだありませんが、大ざっぱに並べていくことで、自分がどこまで考えているのか、どのへんはもう少し深掘りしないといけないかが自然に見えてきます。
そのなかで、疑問点や、「こうしたらもっといいな」というところが続々と浮かんできます。ここでもフォーマット、体裁はいっさい気にしません。所要時間は10~15分程度です。時間をかけてもきがないので、ここも最速でやってみましょう。
③ 並べたメモを見ながら目次をつくり、改めてメモを整理して書く
ここで初めて、作成する書類・資料の全体構成が浮かび上がってきます。目次を書くコツは、部署の書類・資料の目次を数十種類コピーし、最初は近いものをほぼ真似すればよいです。素朴なやり方ですが、かなり気が楽になります。
私はマッキンゼーに入った際、書類・資料作成が得意ではなかったので、関連資料の目次やこれはという分析の図を多数コピーして、パターンに早く慣れるようにしました。
真似をして書いていくうちに、自然に、自分ならこう直したいというのが出てきます。そうすれば、もちろん納得いくように修正すればよいです。目次を決めたら、それに合わせて各章の内容をメモ書きで書いていきます。すでに数十ページが目の前にあり、だいたいの構成もできているので、確定した目次に合わせて書き直していく感じです。ページによっては4~6行ではなく、グラフやインタビューコメントなど、わかる範囲で書いていくとさらに今後の作業がはかどります。
④ 全部書き出してから、ワード、パワーポイント等に入れ込む
ここでようやくパワーポイント(あるいはキーノート)に落とし込んでいきます。すでに二度書き直しているし、全体構成も考える必要がないので、ひたすら入力していく感じです。やってみると分かりますが、非常に気持ちいいものです。やればやるだけ仕事が進みますし、 頭がよくなった感じします。そうなると、好循環が起き、自信が湧き、全てがさらにスピードアップしていきます。
最初は目次、各ページのタイトル、一部のページは本文まで記入します。全部を入力し終わったら、改めて全体を見直して、伝えるべきメッセージが明確に伝わるか、漏れがないかを確認していきます。全体を埋めたあとに何度も見直すと、次々にアイデアが湧いてきます。全体像が見えているので、高速で進めることができるのです。
⑤ 最後に熟成させる
いったん完成させると、改善のアイデアが湧いてきます。立て続けに全体に手を入れていきますが、その都度、目次に戻り、各章の主要部分に戻って全体のバランスが取れているかを確認します。
そこまでいったのち、次はしばらく放置します。私は「熟成させる」と呼んでいます。 だいたいの部分は完成しているので、気持ちに余裕ができるのです。改めて何人かの意見を聞いて、より客観的な場から全体を見ることができるようになります。
締切に対して余裕を少し残して完成させると、すごく気が楽になります。あせらずに全体像を眺めることができます。別の視点からも見られるようになります。そうすれば、残り時間を見ながら小さな改造をし、結構な大改造もやってみようという気になります。万が一うまくいかなくても、すでに一応及第点になっているので、あまり心配はいりません。気持ちの余裕があるなかでやると、全体像も見えているし、時間のかかる作業の大半が終わっているので、大改造でもかなりのスピードでできてしまいます。
一度できあがったものを冷静になって相手の視点で見直しているので、アウトプットの質はここで一気に上がっていくことになります。時間をあまりかけず、しかも非常に楽しい気持ちで。
ポイントはいかに早く「全体像」を把握するか
以上をまとめると、メモを活用して、体裁を気にせずさっと全体像をつくり、PDCAを早く回して仕上げていく方法なら、通常の数倍のスピードで書類・資料作成ができるということです。
全体が一度できると、人間の頭は俄然よく動くようになります。あれも足したい、これはもっと前のほうに持っていきたいというアイデアが無数に湧いてくるからです。集中して作業を進めることができるようになります。私は書類・資料作成を相当に多くやっている方だと思いますが、それでも、集中して進められるときとそうでないときのスピードは残念ながら5~10倍違います。どうやってハイスピードに持ち込むかが重要で、それは明らかに全体像が見えたかどうかによるのです。
全体像が見えないと、遅いだけではなく、ストレスになってアイデアもあまり湧いてきません。したがって、どんどんよくしていく、というPDCAが回りにくいのです。まずは余計なことを考えずにつくってしまう、という姿勢をぜひ基本にしてください。
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▼本書の内容を全15回にわたってご紹介します。
第1回「全体像の描き方」
第2回「好循環のつくりかた」
第3回「仕事を前倒しするメリット」
第4回「効果的な情報収集」
第5回「Googleアラートの活用法」
第6回「相談相手の選び方」
第7回「進んで講演・発表をする」
第8回「英語学習法」
第9回「書類・資料の作成法」
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