この連載は『速さは全てを解決する』の内容より、仕事のスピードアップのための心得や、生産性や仕事の質もあげるため、今すぐ使える具体的な仕事術をご紹介していくものです。第8回のテーマは、スピードと効率をあげる具体的なノウハウより「仕事で使いこなすための英語学習法」です。
半年で目処がつく超効率的な英語勉強法
情報収集をするには英語力が本当に重要な時代になりました。米国を牽引者として世界の変化が加速し、かつ国・文化を超えた連携が進んでいるため、英語や国際化は関係がないと思っていた企業でもうかうかしていられません。グローバルに戦うべき企業は言うまでもありません。
「日本人は英語ができない」とか、「通訳を使えば何とかなる」と言っていた時代はとっくに過ぎました。欧米でもアジアでも、カンファレンス、イベントは全て英語で行なわれており、世界のどの国からの参加者もまったく問題なく英語でやり取りしています。英語力がどうのこうのなど、誰も言っていません。母国語は別でも、当然のように英語で発言し、プレゼンし、質問します。昼間の会議も夜のレセプションパーティーも賑やかです。朝は朝でカンファレンス会場のあちこちで、2人あるいは3人で朝食を取りながら英語で商談を繰り広げています。
日本人は常に遅れを取っています。遅れを取っているというレベルではなく、完全に仲間はずれになっていると言ってもいいくらいです。誰も積極的に仲間はずれにしているわけではないのですが、輪に入れないので結果的に仲間にはなれません。世界中どこのカンファレンス、イベントへ行っても、日本人は心細そうに固まっています。食事も日本人だけで行く人たちが大半です。会場で質問をすることはまずありません。これを根本的に変えないと、情報収集のスタート地点に立てないのです。
技術が発展すれば今よりはるかに優れた自動翻訳機ができるので、英語力がなくても大丈夫、という気休めを言う人がよくいます。もちろん、性能はどんどん上がっていきますが、到底、人と人とのふれあいの中での効果的なコミュニケーションができるわけではありません。インドネシア、ベトナム、韓国、中国、ロシア等から来た人たちが皆何の問題もなく英語で自然にコミュニケーションしているのに、日本人だけが自動翻訳機を使ってやり取りするわけにはいきません。
では、どうやって英語力を本気で強化するか。「聞く力」「読む力」「話す力」「書く力」の4つに分け、それぞれを半年程度で強化する方法をご紹介します。
私自身のことで言えば、中学1年の1学期に初めて英語を習ったとき、成績が非常に悪かったものです。それを見かねて、姉がノートの真ん中に線を引いて単語帳をつくることを教えてくれました。また、字の大きい薄いペーパーバックを読むことも勧めてくれて、2学期以降、何とか持ち直した経験があります。それ以降は一番得意な科目になり、東大受験にも留学にも、またマッキンゼーでも役立ちました。
1. 聞く力
聞く力を強化するには、会話量が圧倒的に多いテレビドラマのDVDを繰り返し観るのが良いでしょう。法廷ドラマと恋愛ドラマが一つになっていて、会話量が多い『アリー my Love』が一番お勧めです。主人公が非常に早口で英語のリズムもいいので耳が慣れますし、ビジネス英語と日常生活の英語を一度に学ぶことができます。
DVDは全部そろえる必要はまったくありません。しかも新品である必要もないです。1巻だけヤフオクで買い、何度も聞けば十分です。聞き方は、一度目は日本語字幕で、二度目は英語字幕で、三度目は字幕なしで耳で追いましょう。内容を理解しているので、意外に英語がすっと耳に入ってくると思います。「あれ?何だか英語が少しわかるような気がするぞ!」という感じを持つことが大切です。
英語が大の苦手という人は、ぜひ二度目の英語字幕を何度も繰り返して見てください。こればかりは、一定量のシャワーを浴びないと前に進めませんので、耳で聞きながら、英語字幕を追っていきます。英語が少しわかるようになってきたら、DVDに加えて、ポッドキャストでオバマ大統領の演説とか、YouTubeで関心のある分野のカンファレンス講演録などを聞きましょう。少し探せば30~60分の長尺のものがあるので、それを何度も繰り返して真剣に聞きます。
我慢しながら聞いていてもなかなか聞く力はつきません。自分の好きな分野、勉強したい分野、関心を持っている分野にしぼって聞く時間をできるだけつくるようにします。情報収集と英語力強化を同時にやれば、時間を有効利用している満足感も得られます。
話す力にも関係しますが、少し耳がついてくるようになったら、聞きながら同時にその英語を口に出して話すと非常に効果的です。“シャドウイング”と呼ばれている練習法です。英語一語一語を丁寧に聞く習慣がつき、聞き取り力が格段にアップします。
2. 読む力
読む力を強化するには、何よりも多読が必要です。英字新聞や雑誌を読むのがいいと言われてきましたが、記事が短かったり、トピックがばらばらだったり、また高価だったりして、私は長続きしませんでした。お勧めは、ある程度ストーリーに夢中になれるペーパーバックを頑張って10冊くらい読むことです。読み終わるころには別次元の力がついています。
小説が好きなら小説を、ノンフィクションが好きならノンフィクションを探して読みましょう。写真の多い本は、英語に集中して読めないのであまりお勧めしません。読書がそこまで好きでないならば、自分の関心分野でグーグルアラートを使い、英文記事を毎日5、6個読むようにすると、だんだんと英語がそれほど苦ではなくなってきます。
3. 話す力
話す力を強化するには、海外出張や外人上司とのやり取りの際に話したい、話そうと思う短文を数百個準備し、何度も読み上げておくことが一番の近道だと考えます。
たとえば、
「それはいい考えだと思います。」
→ I think that is a great idea. I like it.
「少し懸念があります。」
→ I have some reservations about this point.
「私の意見を述べさせてください。 」
→ Let me share my opinion regarding this point.
こういった感じで、挨拶のしかた、ミーティング時の賛成のしかた・反対意見の伝え方、仕事の依頼のしかた、外出時の案内のしかた、食事中の発言のしかた、困ったときの依頼のしかた、苦情の伝え方など20くらいのジャンルに分けて10~20個の文章を日本語で書き、ネイティブの友人・知り合いに依頼して英語の一番簡単な文章を書いてもらいます。丁寧さや苦情の度合いで何種類か書き分けておくと、より気持ちにフィットしやすくなります。
リストをつくったら数十回大きな声で読み上げておくと、実際の場面で何とか言えるようになります。実際の会話でネイティブの人が使う表現を耳にしたら、リストに加えておきましょう。こういうやり方で、自分にとって必要な短文リストがだいたい完成していきます。
私はマッキンゼーに入社直後、スイスでのトレーニングプログラムに参加しましたが、 まったく発言できませんでした。講師の説明や参加者の発言、質問等はおおよそわかるものの、自分が質問したり、積極的に発言することができなかったのです。なぜだろうと考えた結果、その場で自然な英語が出てこないからだということに気づき、上記のようなリストをつくってテンプレート化し、ともかく発言するようにしてからスムーズになりました。
4. 書く力
この場合の「書く力」とは、
・メールや Facebook、LinkedIn 等のメッセージを、英語である程度自由に書けてやり取りできること
・英語のプレゼンをつくれること
の2つに絞ります。その次は英語のブログ・論文を自由に書くといったレベルになるかもしれませんが、まずはこの2つが基本です。
書く力を強化するには、ネイティブから来たメールの文章で使えそうなものを状況別に数百整理しておく方法が一番てっとり早いです。状況別に整理しておき、つぎはぎだらけでも何とか文章に仕上げていく感じです。外資系であれば英語のエディター等がいるでしょうし、そうでなくてもネイティブの友人にお願いして添削してもらいます。数十回添削してもらうと一応意味の通じる英語が書けるようになります。
英語のプレゼン資料も同様です。入手できた英語のプレゼン資料から、使えそうな表現を整理しておきます。チャートのフォーマット、全体の構成などもできるだけ取りそろえておきましょう。そういうところから始めても何となくそれっぽいものになるので、やはり添削してもらいます。
自分が書いたメール、メッセージ、プレゼン資料等で曲がりなりにも意味が通じ始めると俄然やる気が出るので、何とかなっていくものです。非常にアバウトですが、英語はそのくらいのいい加減な気持ちで、ただし遠慮なく使い続けることが上達の早道だと思います。
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英語力をつけるのに大事なことは一定量を集中して勉強することで、 英語が大切だと頭ではわかっていても、ハングリー精神の弱い日本人は一人だとどうしても挫折しやすいものです。そこで、そんな日本人の問題を徹底的に研究し最も効果的に英語を上達させる学習方法は、著書『もうこれで英語に挫折しない』に詳しく解説していますので、そちらもあわせてご覧ください。
また、“英語を学習する仲間をつくること”を目的にした、赤羽雄二主催のFacebookグループ「二度と英語に挫折しない」では、現在2200名以上の方にご参加いただき、様々な英語学習に関する情報交換が行われています。興味のある方はぜひご参加ください。
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第2回「好循環のつくりかた」
第3回「仕事を前倒しするメリット」
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